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    めがね

    DONEフェルヒューでキスの日。 二人の間ですっかり恒例と化した茶会は、必ず昼下がりに行われるとは限らない。優雅に社交にだけ精を出していればよいだけであった貴族たちの時代とは違うのだ。地位と立場のあるものほど、日々忙しく立ち回らねば国政は回っていかない。改革とはそういうもので、主の目指す道の実現に向けて、邁進する毎日である。よって、どちらもが地位も立場もある人間である自分とフェルディナントとは、お互いに自由になる時間は少ないのだ。
     寸暇を惜しんで政務に勤しむのはどうやら己の性分には適性があったようで、多忙の日々になんら不満など持ち得なかったのではあるが、過労が祟って執務室で昏倒したことをきっかけに、適宜休息とは取らねばならないものだと主とかつての師とに二人がかりで叱りつけられることになってしまった。そこで何故だか巻き込まれてしまったのがフェルディナントである。互いにテフ豆と着香茶の茶葉とを贈り合ってから、時折茶会を開くようになっていたことを、主たちもしっかり把握していたらしい。フェルディナントにもちゃんと休息を取らせたかったからちょうどいい、ベレスはそうにまりと微笑んで、不可解な取り決めを押し付けてきた。
    『フェル 4822

    akira_luce

    DONE七夕の時にあげた丹穹。

    星核の力を使い果たし機能を停止(眠りについた)した穹。そんな穹を救うために丹恒は数多の星に足を運び彼を救う方法を探した。
    しかしどれだけ経っても救う手立ては見つからない。時間の流れは残酷で、丹恒の記憶の中から少しづつ穹の声がこぼれ落ちていく。
    遂に穹の声が思い出せなくなった頃、ある星で条件が整った特別な日に願い事をすると願いが叶うという伝承を聞いた丹恒は、その星の人々から笹を譲り受け目覚めぬ穹の傍に飾ることにした。その日が来るまで短冊に願いを込めていく丹恒。
    そしてその日は来た。流星群とその星では百年ぶりの晴天の七夕。星々の逢瀬が叶う日。

    ───声が聞きたい。名前を呼んで欲しい。目覚めて欲しい。……叶うなら、また一緒に旅をしたい。

    ささやかな祈りのような願いを胸に秘めた丹恒の瞳から涙がこぼれ、穹の頬の落ちる。
    その時、穹の瞼が震えゆっくりと開かれていくのを丹恒は見た。
    一番星のように煌めく金色が丹恒を見つめると、丹恒の瞳から涙が溢れる。
    それは悲しみからではなく大切な人に再び逢えたことへの喜びの涙だった。
    「丹恒」と名前を呼ぶ声が心に染み込んでいく。温かく、懐かしく、愛おしい声…。


    ずっと聞こえなかった記憶の中の声も、今は鮮明に聴こえる。
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