家庭の味を エイトは困っていた。
と、言っても別に深刻な事柄によるものではない。「んー、どうしたもんかなー」なんて軽い調子の台詞を頭の中に巡らす程度のことだ。
だが、その困惑の原因をすぐに取り除いてあげたいと考えるエイトは、何か解決策はないものかと思案していた。
事の発端は、晴れた空の下、エスター邸の広い庭園のテーブルセットにて、エイトの為にせっせとお茶と手作りの茶菓子を用意してくれた八雲と一緒にお茶の時間を楽しんでいた時のことだ。
そこで八雲がおずおずと切り出した話をエイトは手にしていたティーカップをソーサーに戻して聞き入った。
遠慮がちに少したどたどしく伝えられる八雲の話のエイトなりに整理したところ、どうやら彼は先日贈られた宝石キャンディーの作り方を教えてほしいというお願いをエイトがすげなく断わったときのことをいたく気にしているようだった。
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