初めてアイクに誘われたとき言われた言葉を、オレは今でもよく覚えている。
「──んで、ルカにその事伝えたらさあ!流石にそれはUNPOGだねって言われちゃって!」
「ハハ、だろうね!僕に聞かれてもきっとそう答えるよ」
あの日はオレもアイクも程よく酔っ払ってて、ひとしきりバカみたいな話題でゲラゲラ笑った後だった。
照明が瞳を暖色に変える。唇はプラムみたいにみずみずしい桃色で、何だかいい女と洒落こんでるような気分にさえなってくる。喧騒の中、アイクは何でもないような声で問い掛けた。
「……ね、ヴォックスとはどう?」
からん。薄まっていくハイボールの水面が揺れる。オレはいや分かんでしょと半笑いで答えた。
「まあね、そりゃ、いつも通りだよ」
2005