「土曜日さぁ、撮影が夕方くらいに終わるから、待ち合わせしてディナーでも行こうよ」
ぱちくり。思わず、目を見開いてしまう。フォークを持つ手が僅かに震えた。そんな俺に気づくことなくセナは続ける。
「モデル仲間にパスタの美味しいリストランテを教えてもらったの。パスタが絶品なんだって。折角だし行ってみたいなって。え、なにその顔」
「い、いや、びっくりしただけ……待ち合わせしてディナーって、デートみたいだな?」
「……デートのつもりなんだけどぉ」
ぴしり。今度は瞬きくらいじゃすまなくて、全身が固まってしまう。あのセナが、デレた……?!
「なんか失礼なこと考えてるでしょ……。最近一緒に過ごせてなかったからたまにはいいかなって。別に付き合ってるんだから文句ないよねぇ?」
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