ふと目が覚めて、重い瞼を持ち上げる。
カーテンの隙間からはまだ朝日が差し込む様子はない。
まだ起きる時間じゃないな、と掛け布団を引き上げたところで、いつもの感触と違っていることに気づいた。
眠気が纏わりつく頭でぼんやりと考え、数秒かけて、昨日は庶民の舞踏会のあと、エドモンドの部屋に泊まったことを思い出した。
そして次に、隣で眠っていたはずのベッドの主がいないことに気づく。目を擦りながら起き上がると、部屋の隅で卓上の小さな明かりを頼りに身支度をしているエドモンドがこちらに気がついた。
「すまない、起こしてしまったか?」
いつもの騎士の服装に身を包み、髪を括っていたエドモンドがベッドに近づいてくる。
「いや。……まだずいぶん早いけど、もう出るのか?」
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