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    @nknkkmsn

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    DONE五夏ですがほとんど夏の独白です
    ふたりの朝のお話です
    プロローグ開けっぱなしにしていた窓から、まだすこしつめたい、朝の風が吹き込んできている。鼻をくすぐる心地良さが、傑の意識にふわりと光を差した。まだ陽が昇り切っていないのか、眠たい目に映る部屋のなかは薄い水色に染まっている。カーテンがゆるくはためいて、そのたびに見上げた天井が白むのを、ぼんやりと見つめた。もうすぐ夏が来る。あきらかに明るくなるのが早くなった窓の外がそのことを報せていた。でも、もうすこし眠れるんじゃないだろうか。そんなことを考えていたら、ふと、腕に重みを感じて。なぜかわかっていたから、動かさないように、慎重に身体をよじる。いつもなら互いに遠慮しないけれど、なんとなく、この時間を終わらせたくないと思ってしまったのだ。斜めになった視界のさきで、悟は子どもみたいにあどけない顔で、すうすうと寝息までたてていた。重みの原因は、傑の腕のうえに投げ出された悟の腕だ。半袖のTシャツに覆われずに、そのまま触れている肌が、しだいに体温を分け合っていく。悟の体温は、傑より、すこし高い。それも、子どもみたいだ。いつもこうならかわいいのに、と思うけれど、きっとそれだと、自分たちはこうはならなかっただろう、と、ふたりで寝ている狭いベッドを想う。きみがいつもこんなにおとなしかったら、それなりに楽しいけれど、きっと当たり障りの無い日々を過ごしていたんだろうね。心のなかでそんなことを思いながら、しろい睫毛を見つめた。
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