酔いどれキスマークの誤算その日は、新しいタイムマシン燃料が完成した記念すべき日だった。
科学王国では、祝という名の宴が盛大に開かれている。
ラボメンバーであるクロムやスイカ、龍水、ゲン、羽京、コハクといった面々が揃い、バーフランソワも特別に開店していた。誰もが人類の未来を拓く大発明に浮足立ち、喜びを分かち合っている。
普段は理性の塊の千空も、この日ばかりはご機嫌だった。
次々と差し出されるフランソワ特製のカクテルにグラスを傾けているうちに、珍しく顔を赤らめていった。
宴もたけなわ。
科学王国メンバーはそれぞれ帰宅していく中、ゼノはまだアルコールを嗜む千空の隣で、静かに科学データの照らし合わせをしていた。互いに科学の話ができる相手は、この世界にそう多くはない。
1972