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    Rumor_cross

    @Rumor_cross

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    Rumor_cross

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    自室では雑な暮らしをしてるゴスゲマタドゥルモンの話。
    完全なる捏造ご注意ください。缶ビール飲んだりしてる。

    薄紅の夜 人間の姿を模倣し、暗躍する以上マタドゥルモンも居住スペースを有している。否、正確には押し付けられたという方が正しい。
     どうやら、吸血鬼の千年王国を築くという野望を持った同胞はマタドゥルモンには共感出来ぬ美学を持っているらしく、眠る場所さえあればいいと言ったマタドゥルモンに対し彼が用意したのは家具家電付き――どれもそれなりに良いものだった――の、一人で過ごすには些か広すぎる部屋であった。もう一体の同胞曰く、彼にも人型用ではないにしろ相応の良い部屋が用意されているという。
     部屋を与えられた当初こそ、酔狂な同胞の行動に少なからず困惑したマタドゥルモンであるが、人間の真似事を続けてそれなりの時が過ぎればそれも日常へと転じ。彼は今日もまた、見慣れた自室の扉を開けるのだった。

     今宵は特別な新作発表会もなく、酷く早い時間に部屋に戻ることが出来た。強者の血を好むマタドゥルモンとしては、ベイエリア周辺の孤立したデジモンを暇潰しがてら狩ることもやぶさかではないが――同胞の計画に乗った以上、己が派手な動きをして計画の妨げとなるのはそれはそれで問題だ。
     つまらんな、と小さく溜息を吐いて、靴を脱ぐ。同胞の能力で作られたハリボテの体でありながら、衣服の着脱も可能な辺りよく出来た擬態だ、と何度目かになる感心をしながらフロックコートにも手をかけた。脱いだフロックコートは適当にソファへと投げ、リボンタイもその上に放り投げる。本来ならば雑な扱いをしてはいけない衣服なのだろうが、あくまで擬態用の衣服ゆえかこんな扱いをしても次に袖を通した時には皺なく着ることが出来るため、マタドゥルモンは自室での服の扱いを気にしたことはない。

    「……酒でも飲むか」

     少しばかり悩んで、結局やることもないなと彼は肩を竦めてキッチンに置かれた小型の冷蔵庫へと手をかける。元々血を主食とする種族であるため、冷蔵庫には酒とミネラルウォーター程度しか入っていない。その中から銀色の缶を一本取り上げて、先程コートを投げたソファの空いたスペースへどかりと座り込んだ。
     かしゅりとプルタブを引けば炭酸の抜ける音が響く。そのまま缶に口をつけてぐ、と煽る。口内に広がるホップの香りとすきっとした苦味。同胞が見ていたら怪訝な顔をされただろうが、ここはプライベートな部屋だ、何の気兼ねもいらないだろう。
     ふ、と息を吐いて。まあ、たまには血の甘美さではなく酒精の酔いを愉しむのも悪くないとそんなことを考えながら彼の夜は更けていくのだった。
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