箱庭仕事に疲れてしまった。
残業を深夜までして作った企画書を横取りされては手柄を奪われ、地位を上げていく上司に怒りと悲しみで一人で泣いた。
毎回精神をすり減らし、いつか波の音が響いく自由な海の元で冷たい水に身を沈めて死にたいと思うようになった。
「こんばんは、迎えに来ました」
夜の海の波が響く音と冬独特の冷たい空気に寒気を覚えながら砂浜に裸足で立ち1歩海面へと踏み出そうとしたら背後から聞いた事のない声がして肩に手が触れたかと思えば視界が回る。
咄嗟に閉じた目を開ければ見たことの無い部屋のソファへと座らされていた。
目の前の声をかけてきた知らない男が膝を着いて目線の高さを合わせ私の手を取る。
「待たせすぎましたねこんなに冷えて」
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