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    ジュン

    正良が好き。思いつきを載せる。

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    ジュン

    ☆quiet follow

    なんか変な下書きあったから載せるꉂ🤣
    もう全く書いた記憶なくて読んだ時最初よちきゅん虫歯なのかな^_^💦 👉👈?とか思ったけど全く違った。なんだこれ🙄わらえ

    「どうした?食わないのか」

    今日の良守は様子が変だ。好物のクリームがたっぷり乗ったケーキとコーヒー牛乳を注文したってのに、ウェイトレスが運んできたそれらには目もくれず、ただぼんやり頬杖をついて俺の顔見つめるばかりだった。
    いや、きっと俺を見てるわけじゃない。
    心ここにあらず。そんな間抜け面である。

    「食べないなら俺が食うけど?」

    フォークを手に取って、皿を横取りする素振りを取っても「おう…」とか「はぁ」とかしか言わない。
    一体なんなのだ。
    久しぶりに会えたってのに、笑顔のひとつも見せないとは。

    「兄貴はいいよな……」

    なんにもよくないけど?今まさにブチ切れそうなくらいお前の態度にイラついてるけど?
    と内心は心底イラついたが笑みを浮かべて耐える。

    「いいって、なにが。さっきからどうした?」
    「べつに…」

    は?そう、わかった。
    お前あれか。俺に喧嘩売ってんだな?言い値で買うぞ。

    「はぁ…」

    溜息をつきたいのはこっちだっての。まったく。
    モヤついた気持ちをクリームソーダを味わって沈める。
    甘味は美味い、心を幾分か軽やかにする。
    そして俺はいい兄だよな。裏会の幹部、責任ある立場で器量も良くて勤勉で。
    それに比べてコイツはアホ、くそガキ、甘ちゃん、守られる立場…天からも愛される存在。
    分かっているとも、すべからく。
    大丈夫、感情を隠すのは得意だ。どんな重い空気だって上手く運んでみせるさ。だって俺は優秀な男だから。

    「……なにか悩んでるのか」

    「あ?」

    あ?ってなんだ、あぁ?

    思わず睨むと良守が少し焦り、態度を変えた。

    「あっ、その。ごめん……兄貴」

    視線が俺を向いた。目に光が戻って、でもすぐにバツが悪そうに顔をそらされた。

    「だって兄貴、狡い……」
    「は?俺がいつ狡いことをしたって?」
    「うぅ、なんか怒ってる?」
    「うん。お前の態度が気に食わない」
    「はぁ?!なんだよそれ。そんなのぜんぶ兄貴のせいじゃんか!」


    その瞬間、何かが切れる音が頭の片隅でした。
    そう、堪忍袋の緒ってやつだ。
    俺の細くて繊細なソレが切れちまったら、もうお前どうなるかわかってる?
    わかってないよな。
    はぁ………しんど。

    「ぜんぶ兄貴のせい、というのはどういう意味なのか、きちんと言葉にして教えてくれますか?」

    「は?え?兄貴?」

    「なんせ私には、まったく、微塵も心当たりがないものですから」

    「ですからって、なに?どうした…俺に敬語なんて」

    どうもこうもお前が吹っかけてきた喧嘩だろうが。
    本当になんだっていうんだ。
    ああ、そう。そうですか。なに?そんなに俺と一緒にいる時間が嫌なのか。
    そうか、そうか。いい度胸だな、最高だな。
    だったら俺とて相応の姿勢を返したい気持ちになる。今、空を睨んだなら落雷のひとつでも落とせるくらいだ。

    「丁寧に聞いてるうちに話すのが身のためってものですよ」
    「もっ、ものすごく怒ってる?」

    笑顔で見つめ返すと良守は見る見る顔を真っ青にしていく。
    いや喧嘩弱すぎだろ、お前。
    まだなんのジャブも打ってないが。

    「……場所変えましょうか」
    「いい!ごめん、とりあえず謝るから!その敬語やめて気持ち悪いっ」
    「じゃあさっさと話せ。俺の何が気に食わない、なにがお前の癇に障ったんだ」
    「は?」

    腕を組んで説教モードに入ろうとして、良守がこてんと首を傾げる。
    そんな仕草ひとつで許すとでも思っているのか。だとすればお前、自分が可愛い自覚があるんだな。くそ。

    「その。気に食わないっていうか、今日の兄貴かっこよすぎて俺いたたまれないっていうか…」

    「………は?かっこいい?」

    良守が何を言っているのか噛み砕くのに数秒かかった。文脈がおかしい。喧嘩売ってきてたはずなのになんか背後から殴り掛かられる勢いで褒められた?なんだこれ、バグか?

    「だって兄貴そこにいるだけで尊いっていうか…その。なんか怒ってる顔もいい…つうか」

    なにが、どうして、そうなった。
    俺べつに何もかっこいい事ひとつもしてないだろうが。

    「ばかにしてる?」
    「うわ、その顔やめろ!兄貴ってそういう顔が一番〜ッ!!」

    「一番?」

    「……いや、なんでもない」

    「なんでもなくはないだろ。一番なんだよ」

    「怒った顔もかっこいい」

    「は?」


    何こいつ。マゾ?

    「その蔑むような目、ちょっとレア」

    「あ?」

    良守がなれない手つきでガラケーを取り出してパシャリと写真を撮って「ふぉぉ!やっと撮れた!」なんてピカピカの笑顔で喜んでいる。

    何こいつ。なに。

    「あのさ」

    「ん?」

    なあに。
    とでもいいたげに、良守の瞳がとろんと垂れる。桜色の唇が赤いストローをはむっと咥えて、コーヒー牛乳を美味そうに吸い上げ、くりくりとした上目遣いでじっと見つめられる。


    「……おまえ、俺のこと好きなの」
    「ブフォッ!!」

    さっきまでの可愛らしさはコーヒー牛乳と共に吹き飛んでいった。


    「え、なに。気づいてなかったの?」

    「引くほど嫌われてると思ってたけど」

    「なんでだよ!兄貴のこと嫌いになるわけないだろ!」

    「じゃあなんで今日ずっとぼんやりしてたんだよ。こんなふうに呼び出されて嫌だったんじゃないの、本当は」

    「はぁ?!ふざけんなよ!今日という日が来るのをどれほど指折り数えて待っていたことかっ!ばかにすんなよ、毎日花占いしてた俺に謝れ!!」

    「なにそれ、意味がわからない。あと俺は謝らない」

    「うるせー!!俺の純情を弄んだ罪で逮捕だ、無期懲役だ!兄貴は一生俺のもんだあああ!」

    「うわ、何言ってんの…」

    「引くなー!!!でも、その顔も声も好ぇ…うっひぃ」

    良守が顔を両手で覆って机に突っ伏してしまった。
    なんだコイツ。
    なんなんだコイツ。
    誰だコイツ。
    本当に良守か?

    「悪い。ずっと隠してきたけど、なんか…!もう耐えれなくてっ」
    「は?なにが」
    「だって…!今まではこっそり見てることしか出来なかったのに。そんな存在が、今目の前に??なんで?なんか最近俺のこと気にかけて構ってくれるし、あまつさえこうして会って話してっ食事して!??なんなの、まじで!!おかしいだろ!!」

    なにキレてんのコイツ。
    飯誘ったこと怒ってる?てことはやっぱ俺のこと嫌って…


    「てかまって?この兄貴は本物?こんな頻繁に俺なんかに兄貴が時間さいてくれるわけないよな。式神かコイツ?いやでもなんかめっちゃいい匂いする…なんで?温もりを感じる、人じゃん…本物じゃんッ」

    「なっ、なんで泣くんだよ」

    ギョッとして羽織の裾で涙を拭うと「ごめん俺その羽織の切れ端でハンカチ作って毎日使いたい」とかわけわからんことを言うので「気味が悪い」と軽く頬をつねっておいた。

    「そう!兄貴は俺に意地悪なんだよ!俺を財力で甘やかし年の功で俺の悩みを聞いたりしないんだよ…俺をぶって」

    うわ面倒くさ…

    「今あからさまに面倒くさそうな顔した?」
    「あぁ。もう心底お前が面倒くさいと思った」
    「ひっ。そ、その目線だけで飯が食える!」

    意味がわかんなあ

    「えっ、じゃあもう会ってくれないってこと?俺のことなんてもう、どうだっていいんだ……」
    「いやそうじゃないけど。今のお前はどうかしてるよ」
    「俺は兄貴と出会ってからずっとどうかしてるんだよ!」
    「そう、なんだ」
    「引くなー!!!」
    「じゃあ責任取ってあげようか」
    「えっ」

    良守がこの世のものとは思えない何かを見たような顔をする。

    「そんなに驚く?」
    「せ、せきにんというのは具体的にはどういった」
    「一生かけて良守を大切にする、とか」
    「結婚!???」

    バンッと机に伏して良守が悶える。
    誰もそんなこといってないし、兄弟は結婚できないんだぞーとつむじをつつきながら囁いても暴走した良守には届かない。

    お前、時音ちゃんと添い遂げるんじゃなかったの?

    聞こうか迷って、口を噤む。

    今はこの変な良守を、しばらく堪能することにしよう。
    コイツは何年経っても、面白くて飽きない。

    ずっと、


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