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    kanashiki79

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    kanashiki79

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    Artrockerzさんからのご依頼品の日本語版。
    普段と趣旨が離れているので、そっとこちらで更新。
    寛七、昼間、出張先のホテル。
    https://twitter.com/Artrockerz/status/1563490922360631296?s=20&t=9Os7AwKglKjGCN81Y0QrQg

    ココナッツアイス 日車は、目の前のホテルを見上げる。
     豪奢な作りの門構えの先には、噴水があり、大きな木がたくさん植えてある。

     じっと見上げた後で、七海に向かって話す。

    「すごいところだな」
    「ええ、すごいですね」

     二人は、地元から離れた町での仕事を、終えたところだ。
     予約を取っていた今日の宿に、足を踏み入れる。

     少し日差しの落ち着いてきた、秋の気候になっている。
     仕事だったため、二人ともスーツ姿だ。

     フロントで七海がチェックイン手続きをしている七海が、少し離れて待つ日車を呼び、問いかける。

    「ウェルカムドリンクか、ウェルカムスイーツが選べるそうです。どちらがよいですか」
    「ん…どちらでも構わない」
    「わかりました、では…スイーツにしておきましょう」

     七海がフロントへ伝え、二人はエレベーターへ向かう。
     上昇する箱の中で、日車が問いかける。

    「このホテルは値段が高そうだが…、仕事でこんなところに、いつも泊まれるのか」
    「ここは、五条さんの持ち不動産です。たまには二人で、ゆっくり休んで来いと」
    「ああ、そういうことか」

     雑談をしながら、エレベーターを降り、廊下を歩き、手にしたルームキーが示す部屋のドアを開ける。
     部屋はスイートルームで、二人では広すぎるぐらいに思える。

     手持ちの荷物を壁際のテーブルに置き、日車はソファーへかける。
     七海は近くの鏡の前に立ち、ジャケットから口紅を取り出した。
     ここへ来るために到着した空港で、買い求めたものだ。

     ペリ…と包装を破り、蓋を開けると、口紅を引きはじめる。
     鮮やかな赤が、七海の唇を彩る。

     ソファーへ向き直った七海の美貌は、妖艶だ。
     日車が肩眉を上げ、声を漏らす。

    「端正な顔だと常々思ってはいたが、美人だな」

     ふふ、と笑いながら、七海がソファーの日車へ近づき、額へキスを落とした。
     口紅が、日車の肌へ、花を咲かせる。

     そのまま七海は、唇の横へ口紅の赤い花を描く。
     日車が、思わず声を上げる。

    「ま、待て…、七海…」
    「いいえ、待ちません」

     ニッ、と笑い、七海はキスの雨を再開させる。

     首筋、胸元、と進み、もう一度頬へ口づけを…と顔を上げた時、日車が緩んだ顔になっているのに気づき、七海はまた、口の端を上げる。
     小さな声で、日車が訴える。

    「七海…やめろ…」
    「寛見さん」

     愛しい男の名を呼びながら、頬に口づける。
     新たな口紅が付き、日車は答えようとするが、もう、声にならない。

     最後に、特徴的な鷲鼻に唇を降らせたとき、ドアのチャイムが鳴った。
     ウェルカムデザートが、届いたようだ。

     呆けて涎を垂らす日車の顔を、七海は優しく撫で、手の甲で口紅を拭うと、玄関へ歩いて行った。
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