World Blue青の世界で
この世界には、海の彼方に宝が隠されている。
年端も行かない年老いたその男が囁くように語る言葉はまるで魔法の言葉。
今宵は国の西南に面する小さな村のささやかな祝祭の為に、普段は貧しい暮らしを余儀なくされる村人達も心の枷を一つ二つ外して開放的だ。
酒気を帯びた大人が馬鹿馬鹿しいと笑い飛ばす焚き火を囲むようにして話す秘密の物語。息を呑む者、瞳を輝かせる者、疑いを持つ者、男女入り混じり火に照らされる顔の中にひとり。
─── 海のずっとむこうに宝があるなら、いつかおれもいってみたい……!きっと"そこに"あるんだ、だって読んだんだ…!
身を乗り出して片手をあげる少年がいた。顔は焚き火の丁度死角になるが、新緑を思わせるやわらかな緑の瞳の持ち主だった。
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