華葬 突然に、言葉は花と散る。
「あ…?」
「ミスタ…?」
出掛ける予定の無い休日、少しクッションのヘタレたフェイクレザーのソファ、硝子のローテーブルに並ぶ違う飲み物の入った2つのマグカップ、身を寄せ合って体温を分かち合う生きる時間の違う二人のイキモノ。
その足元に。
薔薇様の芳香を纏った硬い靴で踏み躙じられた萼片と茎の苦い青味の中心に、雫型の5枚の花弁の小花が幾つか寄添った白い球体がひとつ。
「[[rb:天竺葵Geranium > 私はあなたの愛を信じない]]…気に入らないな」
床に転がる花を横目に、己の吐瀉物を凝視したまま一時停止したミスタへ聴こえる様に、強く低くヴォックスは唸った。
「何で?オレは…」
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