「君はっ、僕を囲って一生離さなければいいんだ!ベッドがふたつ並んだこの部屋に閉じ込めとけばいい。すっごく傲慢な癖してなんで、なんでっ」
「英二」
「うっ、うぅ。なんでよ、なんで僕は日本にかえったんだよぉ」
ぽす、ぽす、とアッシュの胸を緩く握った拳で叩きながらどうしよもなく零れる涙を床に落とした。
「英二、顔を上げて」
「やだ、アッシュのばか、わからずや、」
叩くのをやめないその拳を、その身体をそのままにそっと抱き寄せられ身動きをアッシュに封じられた。困ってるだろうか、面倒くさがっているのだろうか。
「……俺にとって、お前は自分の命よりも大切で、自分の人生よりも遥かに思い通りにならないから」
「なに、いみわかんないよ」
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