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    ただの倉庫

    @33qmi
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    ただの倉庫

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    転生パロ伏五の冒頭。大泣きするちび恵

    ##呪
    #伏五
    volt5

    二度目ましての爆音「やっ!」
    つんつんと元気いっぱいに空に伸びた頭に向かって悟が話し掛けると、びくっとしたチビはおそるおそるとように首だけ回してこちらを見た。まだ五歳にもなってないだろう。前世で初めましてをした時よりも低い目線に向かってする今世の2度目ましては、チビな恵には衝撃の強いものだったらしい。
    悟の陽気な声を聞いて何を思ったのか、「びぇぇぇぁぁ」とすごい勢いで泣き出した。それはもうわんわんと。いやむしろ、エコーがかかってぐわんぐわんいってるかもしれない。「ちょっとなに?」「どうしたんだ」近隣住民がその声につられてわらわらと出てくる。そんな周りの声が聞こえていないのか、恵は顔を真っ赤にさせて力いっぱい悟の前で泣き散らす有様だ。
    「お〜〜い、恵さ〜〜ん?」
    前世で会った恵は泣きそうになっても口を噤んでムスッと我慢するような子供だったから、悟はチビなんて一度もあやした事がない。困って声を掛けてみたり、目の前で手を振ってみるも恵は一向に泣き止む気配がない。むしろ、悟が話しかけた瞬間に音量が上がった。なんてうるさいレコーダーだろうか。スイッチがあればすぐに切ってやるのに、生憎恵にはスイッチなんてものはついていないのだった。途方に暮れて周りを見渡すも、そこに助け舟なんてあるわけもなく。むしろ住民の一人が四角先の交番から警官を連れて来らしく、「あっ!またお前か!」と指を差された。
    「冤罪!!!」
    悟が主張するも、顔見知りの警官は胡散臭そうにこちらを見てくる。
    「いや、本当に何もしてないってば!ちょっと声を掛けただけで……」
    「前もそう言ってたけどなぁ、そもそも君は格好が胡散臭いんだよ」
    「ハァ〜〜?」
    誠に遺憾です、と全力を込めて警官を睨め付けるも、相手は肩をすくめただけだった。

    悟だって、なんで恵がこんなに泣いているのかが分かれば苦労しないというのに。
    「恵〜〜、なんで泣いてるの〜〜?」という悟の呑気な声は、恵から発せられる爆音によって掻き消された。

    *****

    「やっ!」
    聞いたことあるその声が耳を駆け抜けた時、恵はまるで時が戻ったかのような錯覚をした。駆け巡る前世の記憶。たった一瞬のその時に、まるで悟の術式を掛けられたかのようにいろんな記憶が押し寄せた。おそるおそる振り返ると、光に眩しく反射する白髪と、サングラス。昔と違ってレンズの色が薄く、向こう側で悟の青い眼が笑っているのが見えた。こんなに身長差があるのは久しぶりかもしれない、そう思って、かけようとした言葉は形にならず。口からまろび出たのは言葉になる前の音で。
    肉体に精神が引っ張られているのだろう、一度出してしまったら止まらなかった。次から次へと溢れる音。目の前で悟がひどく驚いているのが分かる。分かってても止められなかった。
    なんで、なんで。そんな、まるであの日々の続きみたいに。起こった事は変えられない、残った事実は忘れられない。なのに悟がそんな呑気に声を掛けてくるから、恵はその声に許しを得てしまった。
    周りの大人たちが何やら騒いでる、悟が警官と言い合いをしている。状況は分かっても、溢れた感情を止める術はどこにもない。

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