藍良がヒロくんとひなたくんとお泊り会する話「お風呂お先にもらいましたァ」
おれは髪を拭きながら考えた台詞を言いながら、脱衣所の扉を開ける。湿度の違う空気に肌が心地よく冷やされるのを感じた。居間のソファに座っていたヒロくんと、葵ひなた先輩が振り返る。ひなた先輩はヒロくんと目を合わせたあと、立ち上がった。
「じゃー次は俺の番ね~」
ひなた先輩が自分のベッドの側に行き、ごそごそと寝巻を取り出す。おれがどうしていいか分からないまま突っ立っていたら、ヒロくんが鏡台の椅子に座るよう促してきた。その手にはドライヤーを持っている。
「僕が藍良の髪を乾かしてあげるよ」
「ええー、ヒロくんにやってもらうとバサバサになるからやだァ」
前に星奏館の旧館でALKALOIDの四人で過ごしていた時、ヒロくんにドライヤーの使い方を教えるついでに乾かしてもらったことがあった。その時はもう髪の流れとかつむじの向きとか完全に無視して風を当てられたから、ひどいクセがついて苦労させられたのだ。
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