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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    meepoJlo

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    僕のものでしょ?彼からの連絡はいつも突然だ。
    揺れるスマホを覗けば、表示される名前は五条悟。

    [ 今から会えない? ]


    ーーいつもの帰り道。
    特に断る理由もなくて、指定された待ち合わせの場所に歩いて向かう。



    自分から誘っておいて、待ち合わせにはいつも遅刻してくる。

    彼を待ちながら、唯は連絡の入らないスマホを確認して溜息を吐く。人混みから少しだけ離れて、壁にもたれ掛かり辺りを見回した。それらしい人はやはりいない。
    たくさんの人が行き交う駅の出入り口。人が多いのはたぶん、金曜日の夜だからだろうか。


    「お姉さんっ」

    声を掛けられて振り返れば、明らかに酔っ払った風の男性が3人。笑顔でこちらに手を振っていた。

    「お姉さん、ひとり?待ち合わせ?」

    唯は何も言わずに視線を逸らす。

    「さっきから見てるけど、全然相手来ないじゃん。そんなヤツ放っといて一緒に飲まない?」

    言って逸らした視線に顔を覗き込まれる。
    不機嫌を隠す事もなく、怪訝な顔でスマホを確認するが、相変わらず待ち人からの連絡はない。

    眉根を寄せて唯は踵を返すが、回り込んだ一人が行手を遮るように立ち塞がる。気が付けば囲まれて、嫌な笑顔で唯を見る。酒の匂いが濃く香る。

    「こんな可愛いコ待たせるなんて、そいつどうかと思うよ?近くにいい店知ってるからさ。ね?」

    逃げ場なく困り果てて周りを見れば。
    どう思われているのか、変わらず道を行き交う人たち。人混みから少し離れて、人気のない場所を選んだのは自分だけど。
    唯の身体よりも遥かに大きな男性に囲まれれば。どうして良いのか分からずに恐怖で小さく身体が震えた。

    「…どいて、下さい」

    勇気を出して、正面にいる相手を真っ直ぐに見て告げる。

    「迷惑です」

    声が震えているのが自分でも分かる。
    本当は、気を抜いたら涙が出てしまいそうで。奥歯を噛んだ。

    「ええー?迷惑?折角寂しそうにしてたから誘ってあげたのに」

    言って笑い、男が唯の腕を乱雑に掴む。

    「……っ!…離して下さい」
    「えぇー?ちょっとだけ。あ!じゃあさ、待ち合わせの相手が来るまでっ」

    掴まれた腕が痛む。
    振り払いたくて力を入れるが、微動だにしない。恐怖に身体が強張るけれど。

    「だから、迷惑……っ



    「もう来てるけど?」



    腕を掴む男の背後には、いつの間にか長身の男性がいた。
    唯のよく見知った男性。白み掛かった髪に、整った端正な顔。陽も沈んだと言うのにサングラスを掛けて、口の端は笑顔で結ばれている。

    「……さと、る…?」

    揺れる瞳で見上げればサングラス越しの綺麗な瞳と目が合って。おまたせ〜っと軽く手を上げて唯に笑んで見せる。
    唯の腕を掴んでいた男の手に、悟の大きな手が重なりその手首を握った。

    「汚い手、離してくれる?」

    口元は笑顔で物腰も柔らかだが、サングラスの奥の瞳は笑っていない。

    「汚れちゃうでしょ」

    悟はぐぐっと、音が聞こえそうなくらいの力で男の手を握る。

    「………痛っ!」

    瞬間、唯の腕から男の手が離れて行った。悟は男の手を尚も握る。

    「僕一応教師だから、あんまり問題事は起こしたくないんだよね〜」

    かと思えば放るようにその手を投げた。笑顔のない悟の顔は、微かに狂気が見え隠れする。

    「……二度と近付かないで?」

    言われた男達はバツが悪そうに顔を見合わせた。
    悟は唯に手を差し出す。唯がその手を掴むと、握り返されたその大きな手は唯の小さな手を包み込み、ゆっくりと引き寄せる。震える唯の身体に腕を回して、悟は男達を一瞥した。その顔は影になっていて見えない。
    唯はなすがままその胸に頭を預けると、大きな手がそっと頭をひと撫でした。

    「怖かった?遅くなってごめんね」

    唯は小さく頷いた。大きな温かい彼の手がまた唯の頭を優しく撫でると、唯の中に安心感が広がっていく。

    さて、と悟は唯の身体を解放して。

    「じゃ、行こうか。レストラン予約してあるから」

    何事もなかったかのように歩き出す。そのまま唯の手を引っ張って促す。握られたままだった手は、大きな掌が唯の掌に触れて重なると、細くて長い悟の指が唯の指に絡めとる。

    「…悟さん…、いつも遅刻してくる…」
    「伊知地に急ぐように言ったんだけどね〜」

    ごめんね、とまた軽く謝るけれど。あまり心はないように聞こえる。たぶんまた、この人は次もちょっと遅刻するんだろう。

    ぼんやり考えながらしばらく歩くと、不意にその足が止まった。

    「悟さん?」

    唯もそれに合わせて立ち止まる。
    駅から離れて、人通りも落ち着いたブランドショップが並ぶ静かな通りだった。もう少し進むとレストラン街がある。
    キラキラと光るショーウィンドウに、イルミネーションが綺麗に輝く。
    悟は唯の手を握ったまま振り返った。

    「ねぇ、このまま指輪買いに行こっか?」

    絡んだ指を持ち上げる。

    「指輪?またいきなり何で…?」

    首を傾げると、空いている手でサングラスを外す。握った唯のその手を悟が持ち上げ、絡まった指を一本ずつ解いていく。

    「…………?」

    親指から順に、人差し指、中指とゆっくり最期の指まで解いたかと思うと、そのままぎゅっと唯の手を握る。
    悟は腰を屈めて唯に目線を合わせた。アクアマリンのような綺麗な瞳が唯を映す。目を細めて微かに笑い、唯の手の甲に唇を寄せた。薬指の付け根に、そっと口を付ける。ちゅ、とリップ音が響いて耳に届くと、急に顔に熱が上り真っ赤になる。


    「唯のここに付ける指輪」


    呟く吐息が指に掛かる。左手の薬指。
    至近距離から見つめられれば、その綺麗な顔に。唯の心臓は早鐘を打った。

    「の、予約」

    「…………?」

    きょとんとする唯に、悟は口の端を持ち上げて悪戯に笑う。

    「……ょ、…予約?」

    「否、僕としては本物でもいいんだけどねっ」

    目線はそのままに悟は指先を動かして、小さな唯の指をまた絡めとった。

    「本物はまた今度。全部終わったら、ちゃんと用意してあげるつもりだけど」

    ぎゅっと唯の手を握り、元々近くある顔を更に近付けた。耳元に顔を寄せて、擦れた低い声が小さく呟く。


    「だってもう、僕のものでしょ?」


    唯の頬を啄むように口を付けて。

    「悪い虫が付かないように」

    真っ赤になって動けなくなる唯に、ふっと笑ってから屈めた腰を持ち上げる。サングラスを掛け直して、唯の手を強引に引っ張るようにまた、歩き出した。

    拒否権は勿論、ない。


    向かう先はたぶん、
    レストランじゃなくてーー…









    End***









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