『安全な場所』 風呂から上がってリビングに入るとソファーに座っていたドラルクがこちらを向いて人差し指を立てた手を口元に当てた。
もう寝ちまったのかと上着をハンガーにかけながらソファーの向こうを覗き込むと、オレンジがかった長い髪がソファーに散らばっていた。停止されたゲーム画面を見る当たり隣で寝ていたヒナイチがもたれかかって、そこから膝枕をすることになったのだろう。
「珍しいこともあるもんだな。吸対忙しいのかな。」
「昼間友達と遊びに行ってたんだって。昨日も仕事だったしあんまり眠れてないんじゃない?休ませてあげようよ。」
「いいけどお前大丈夫か?何なら俺運ぶけど。」
「耐えてみせるよ。」
「…大丈夫って言ってやれよ。」
よく見ると足が少し震えている気がする。クソザコすぎて可哀想になってきた。
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