テデの夏休み・2日目テデ夏!
テデの夏休み・2日目
こうも暑いと何も手がつけられん。と年に一度は口にするぼやきを故郷から遠く離れた隠れ家に来てまでも零してしまい、環境が変われど暑さは変わらず、寧ろ年々攻撃力を増して暴力的な気温になってきているのがここ数日のディオンの苛立ちの原因である。
全てのクリスタルが破壊され魔法を失った今、人々ができる最善の涼み方は水を浴びて風を起こす他なかった。
「冷風を作り出して外に排出する機構を思いついてはいるんだよ。今は試作の段階。組立中だからしばらくは辛抱してくれよ!」
とは発明家ミドアドル嬢の話である。若き天才の頼もしい言葉に一も二もなく頷いて、しかしそれまではどう耐え抜くか、と悩みかけたところ、ミドアドル嬢は朗らかな笑顔から一転、悪戯を思いついた少年のような笑みを浮かべて、茶目っ気たっぷりに「あたし、良いもの見つけたんだよね」と言い放った。
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