底のない愛だった嫌な夢を見た。
飛び起きた俺は焦った。
Sonnyが、いない。
昨日は確かに隣のあたたかな体温に安心して、身を預けて眠りに落ちたはずだ。
冷や汗が背を伝って、やがて白いTシャツを灰色に染めていく。
比例するように不安で泣き叫びたい気持ちが心を占めていく。
ああ、これもきっと全部悪夢のせいだ。
ここは…?
不思議に思うAlbanが座り込んでいたのは、冷たい路地裏の地面であった。
何とも言えないざらついた感触の冷え冷えとしたそれに、思い出したくなかった記憶が次々と襲ってくるのがわかった。
それでも、それらに必死で抗いながら蹲ってただ耐えることしかできない。
呼吸が浅い。
助けて、と蚊の鳴くような声で訴えることすら叶わず、すぐ近くでパトカーのサイレンの音が鳴り響いた。
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