信じてたのに 僕らは、今は「処刑人」として魔界に存在する。
けれど、昔は違う。
昔は人間共の世界にいたんだ。
昔は人間共の都合で作られたんだ。
今は、ナターリャ様に作られ、彼女に仕えている。
けど、昔は違う。
僕らは昔、人間共の手によって作られた「人を痛めつける道具」として作られた。
作られた時の記憶なんてない。
気づいたらいたんだ。
作った奴らの顔なんて覚えてない。
けれど、覚えているのは昔の「処刑人」の奴らだった。
「処刑人」は、悪を働いた人間を「痛めつける」為にいる。
その時、「処刑人」が使うのが、僕ら「人間を痛めつけつける為の道具」だ。
僕らは、あいつらが好きだった。
僕らを大切に思ってくれていた。
人間を痛めつけ終わった後、いつも僕らの近くにやって来て僕らに
「よくやった」「お疲れ」
と言ってくれたんだ。
この時の僕らの感情はない。
けれど、あいつらが僕らに「礼」をしていた事はよくわかっていた。
それに、その「人間を痛めつけつける事」を見ていた人間共は、悪を働いた人間に罵声をあげながらも、「人間を痛めつけつける事」が終わると、歓声で町が包まれた。
さっきも言ったが、この時の僕らの感情はない。
けれど、あいつらは僕らの働きを認めていてくれたのはわかった。
そして悪。
僕らは、最初、「人間を痛めつけつける事」に戸惑いを感じた。
しかし、この作業を続けているとこいつらは生きている資格はない。と思うようになった。
これが「ペットは飼い主に似る」と言う事なのか?は分からない。
けれど、僕らがあいつらに似てきたと言うのはわかっていた。
けれど、その時間は長続きしなかった。
人間共が、僕らを見捨てた。
人間共はだんだん僕らの働きに違和感を感じ始めたんだろう。
人間共は、その時間から僕らを避け始め、僕らに向かって罵声を浴びせた。
もちろん、あの「処刑人」達もそう。
人間共に「人殺し」「悪魔」「死神」と罵声を浴びせられ、最終的には自分で死んでいってしまった。
最終的には、僕らの役目は終わった。
しかし、許せない奴らがいた。
そう。人間共だ。
僕らを作ったくせに、僕らを見捨てて。
僕らに向かって歓声を上げていたくせに、罵声を浴びせ。
僕らと国の為に作った「処刑人」に入ったのに、人間共の都合で死んで…
許せなかった。
あいつら僕らを見捨て、こき使ったくせに。
だから人間が嫌いなんだ。
人間には「悪」がたくさんいるんだよ。
だから信用できないんだ。