吸っちゃだめです!「どうしても駄目…ですか?」
正座しながら彼女を上目遣いで見詰める。腕を組んで口をへの字にしながら断固聞きません!といった顔で立っていた観音坂さんは、俺のそんな表情にぐっと来たようだ。
「うっ…」
相手が俺の顔に弱い事は初めて会った時から分かっていた。笑顔を見せる度「ま、眩しいっ!」と目を背けられたり何なら真顔で見詰めるだけでも赤面してくれる。
可愛いかわいい俺の恋人。
俺と観音坂さんは少し前から正式にお付き合いをしている。ちょっと前までは利害の一致で傍にいただけだったんだが、俺がまんまと彼女に嵌ってしまった。
吸血鬼が人間に恋するなんて笑うだろうか。心の端で受け入れてもらえないかもしれないという小さな恐怖を抱えながら伝えた想いを、彼女はその笑顔で受け止めてくれた。
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