触れて、開いて、溶け合って しとしとと降る雨垂れの音で、目が覚めた。
「……雨、か」
ゆっくりと、瞼を開ける。不快感も気怠さもない、すっきりとした目覚めだった。天幕越しに見る外は、淡く白んでいるもののまだ少し薄暗い。格子戸も障子も閉め切っているせいか、はっきりとした時間は分からないが、まだ起きるには少し早そうだ。
隣で眠るカグヤを起こさぬよう、慎重に身体を起こす。水気を含んだ空気はしっとりとして、少し肌寒く感じた。幸い、寒がる様子もなく穏やかな寝息を立てている彼女の寝顔は安らかそのもので、安堵する。頬に掛かった髪を払い、布団を肩まで引き上げてやった。昨夜のうちに、夜着を纏わせておいて良かった。素肌のままでは、身体を冷やしていたかもしれない。
4726