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    せなん

    地雷原(成人済) 誤字魔

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    せなん

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    ディアスタだと思っている
    プロポーズの日ギリギリ遅刻。
    書いてないけど本編世界線かつ恋人前提。

    ――
    「今晩は月が綺麗ですね。」
    「ああ、今日は雨上がりだからな。なお月も星も澄んで見えるのだろう。」
    ディアマンドとスタルークはバルコニーで空を見上げていた。夜空は蒼白い月が程よく照らし、大小様々な星が紺色の空を飾り付けている。
    「それにしても珍しいな、スタルーク。夜に待ち合わせる時は大体部屋じゃないか。」
    「そ、そうですね……。でも、今日は流星群が見えるとセアダスから教えてもらって。あ、こちらです。」
    スタルークはディアマンドにメモを渡す。
    「セアダスが占星術?を行う際に星読みを覚えたらしいのですが、今日は珍しい流星群が降るのだそうです。興味があったので話を聞いていたらメモを頂いて。」
    ディアマンドがメモを見ると星の名前や見方、見やすい場所、今日降るらしい流星群のことが書かれていた。
    「150年に1度……」
    「はい。ですから僕らは二度と見ることは出来ません。……だからこそ、兄上と見たくて。お仕事がお忙しい中、僕なんかが夜の貴重なお時間を……」
    「そんなことはない」
    ディアマンドはスタルークに諭すよう、バルコニーの手すりに乗せられていたスタルークの手に重ねる。成長したと言えど自分より一回り小さな手は、白い手袋をしていても少しひんやりとしていた。
    「私も興味がある。メモの予定ではあと半刻程か。」
    集まったときは遠影にぽつぽつと部屋の明かりがあったが、夜から深夜帯になったと示すよう明かりは数える程しかなくなっていた。まるで、夜空の下に自分たちしかいないようだとスタルークは感じていた。
    「あっ」
    「?」
    スタルークはうっすらと動くものを見た。スタルークは実戦で長い間弓を引いていたおかげか視力が人一倍良い。スタルーク自身に自覚はないが、ディアマンドが気づかない程薄暗い星も見つけられているのだろう。
    「見つけたのか?」
    「はい。初めて見ましたが願い事を言う暇もない程速いですね。」
    星に3回願い事をすると、その願い事が叶う。エレオスの人間ならば誰でも知っている御伽噺だ。スタルークは今初めて流星を見たが、戦場で飛びかうどの攻撃よりも更に速いと感じた。
    「そうなのだな。あ。」
    「降りましたね」
    「本当だ。私も初めて見たが、これでは一言言う前に消えてしまう。」
    「同感です。あ、もうすぐ1番星が降る時間らしいですよ。」
    2人は夜空を見上げる。月明かりとは逆の方角、星灯りはあれど夜空も、足元も真っ暗。
    スタルークはこの暗闇の中、兄の姿を見失わないようそっと重なる手に指を絡めた。
    「……」
    お互い無言できらきらと落ちる星を見る。たまに風が吹き木が揺れる音がするが、耳を澄まして聞こえる呼吸の音しかここにはなかった。
    (兄上とずっと一緒にいられますように)
    スタルークは心の中で願いを込める。たった一つの星は瞬きの間に落ちてしまうが、この数々の星をひとつと考えれば3回は言える。所詮は御伽噺ではあるから、少しずるい考えでも良いだろうと3回目の願いを唱えた。

    「綺麗でしたね」
    「そうだな。スタルーク、誘ってくれてありがとう。」
    恐らくこの誘いがなければブロディアの部屋の小窓で夜空を見上げ、書物の挿絵でしか流星を見ることはなかったのだろうとディアマンドは一人考えた。
    「もう夜も深いですし、戻りましょうか。」
    「スタルーク。少し待ってくれ。」
    ぎゅっと指が強く絡められる。はいなんでしょうと答えようとすると、兄はいつになく真剣な顔をしていた。
    「その、なんでしょう……。」
    なぜか段々とスタルークは恥ずかしくなってきていた。暗い中で良かったと顔から指先まで真っ赤になってきてしまっている。
    「……。スタルーク、これを。」
    ディアマンドは何かを決意したよう一呼吸つくと、スタルークの左手を取った。薬指に硬い、金属の感触がする。
    「……兄上、これは。」
    「有り体な言葉だが。これからもずっと傍にいてほしい。」
    「……、……!」
    スタルークは一瞬、時間が止まったかのよう思考が止まる。意味を理解してから今度は周りがとても速く時間が過ぎていくように頭が回り始めた。
    「はい……はい!もちろんです……!」
    スタルークは指輪を嵌めた兄の手に、自分の手を更に重ねた。
    「僕も、これからも貴方の、ディアマンドのおそばにいます。そして、ずっと傍にいてください。」
    スタルークは真っ赤な顔をディアマンドに向けた。いつになく真剣な、そして真っ赤にして照れた顔をしたパートナーの姿が月明かりに照らされていた。
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