君が一等好きって言うから勘違いしてしまった。
分かりきっていた事だ。
だってあいつ、真一郎と俺は男、普通に考えて恋仲になるなんて無理な話なわけで。
でもあいつが眩しい笑顔で俺の事を好きだと言ってくれる、それだけで俺はお前を好きになってしまう。
きっとあいつの好きは友愛、対して俺の好きは恋情。
矢印は互いに向き合っているけど、ベクトルは大違い。
あいつが失恋するたびにホッとしてしまうと同時に心が痛む。
こんな気持ちになるくらいなら知らない方がよかった。
1番好きだなんて思わせぶりな事言っておきながら他の女子に告白とかすんなよ。
我ながら女々しくて嫌になる。
「真一郎の馬鹿野郎・・・。」
俺には好きな奴がいる。
そいつは俺の幼馴染で、とっても大切な存在。
いつからかは分かんねえけど、気がついたら好きで愛おしくてたまらなくなっていた。
いつも俺の側にいてくれて笑っている表情が好き。ふとした仕草も全てが可愛らしいと思ってしまうほどだ。
その唇を奪いたい、誰も押し入ったことの無い、お前の内の柔らかい所まで触れ合いたい、俺しか見た事が無い表情を見てみたい。
こんな事思ってるなんて口が裂けても言えるわけが無い。
それを女子は分かっているのか皆口々に言う。
あなた他に好きな人がいるでしょう?
「武臣が好きすぎて辛い・・・。」
前々から思っていた事だが、幼馴染にしては真一郎のやつ俺にベタベタしすぎじゃ無いか?
「真、あっちいんだけど・・・。」
「俺は暑くねえから大丈夫だ!」
「いや何だよそれ・・・。」
ただ今俺の肩には真一郎の顎が乗っけられている、まあ所謂後ろから抱きしめられている格好だ。
「てかおめえんだよ!!」
「いいじゃんそれぐらい!!」
「良くねえよ!!」
「いちゃつくなら誰もいねえ所でやれよご両人よ。」
「はあ?!どこがいちゃついてるってんだよワカ!!」
「他の隊員の目も有るのを忘れるなよ・・・。」
「ベンケイまで!!」
俺は関係ありませんって顔してるけど武臣耳真っ赤なんだよね〜。
あれで隠せてると思ってるんだから可愛いやつだよな・・・。
それよりも問題なのは真ちゃんの方なんだよな・・・。
俺は真ちゃんが1人の時にそれとなく聞いてみる事にした。
「真ちゃんさあ武臣の事どうするつもりなわけ?」
「どう言う意味だよ?」
「あれさ、牽制してんでしょ?」
「そんなんじゃねえよ・・・。」
「いい加減武臣束縛すんの辞めなよ。」
「・・・どう言う意味だよ。」
「好きなんでしょ?はたから見てもバレバレだぜ?」
真ちゃんは段々と苛立ってきている様で語気が荒くなっている。
「告白する気もないのにさ、相手に期待させる様な事しちゃ駄目だよ。」
じゃないとあまりにも武臣が可哀想だ。
「じゃ、俺が言いたいのはそれだけだから。」
ワカはそう言うとさっさと帰ってしまった。
「はあ・・・、そんなの俺が1番分かってんだよ・・・。」