ルシ子ちゃんと手袋の話ー
「ルシ子ちゃん、暑いのに手袋取らないんデスか?」
アタシの庭に遊びに来ていたサニーが、アタシの顔を覗き込んでそう言った。
ぼうっとして、そこら辺を漂っていた意識が名前を呼ばれたことにより急に引き戻され、アタシがここに生成されたような、求められたから集まって戻ってきたような、そんな感じがした。
アタシは返事をする代わりににんまりと笑って椅子から立ち上がった。
そうして不思議そうにこちらを見つめるサニーの頬を自分の両手で挟んだ。
「る、るしこちゃ…」
なにするんデスか〜と頬をむにむにされながらサニーは声を上げる。
アタシはそんなサニーを見てひとしきり笑った後に、手袋はどんなに暑くても取ってあげないよと意地が悪い笑みを浮かべて言った。
1452