熱「ヴ――、ヴ―――」
静かな部屋に、携帯電話のバイブ音が鳴り響く。布団から重い腕を伸ばし、光るスマートフォンを手に取ると、着信履歴を見てゾッとした。
【緑谷出久 不在着信 15件】
💥「……はい」
🥦「あっ、もしもしかっちゃん?ごめん何回も電話して。今事務所なんだけど、ちょっと来れない?」
💥「あ今?……わかった」
時計を見ると、午後16時半を示していた。(こんなに寝とったンか)と熱く重い身体を起こし、上着を羽織る。ぶる、と身震いすると、起き上がった拍子についたTVから熱中症の注意喚起の声が聞こえた。チッ、と舌打ちをしながらTVの電源を切って部屋を出る。
家から10分、交差点を越えたところに出久の事務所がある。一応ヒーロースーツは下に着て来たものの、それを着て活動できるほどの活力はなかった。
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