支援C「先日の模擬戦の采配、見事だった。エーデルガルト、今回は君の完勝だな」
「ありがとう、ディミトリ。でも貴方の認識ほど差はなかったんじゃないかしら。中央の丘陵地帯を先取できていなかったら、私たちの勝利も危なかったと思うわ」
「讃えてもらえるような善戦ができたのは級友たちのお陰だ、彼らはいつも想像以上の力を見せてくれる。それに比べ俺の戦術はまだまだだと感じるよ。折角の精兵も使いこなせないようでは、指揮官失格だな。」
「ディミトリ、貴方が戦場で歩を進める度、学級皆の士気が上がっているのが伝わってくるのよ。つまり貴方はこの中に欠かせない存在ということだから、気を落とす必要はないわ。
でも、貴方の策が読みやすいのは確かね。折角左右に兵を広げて撹乱する構えでいるのに、主力が正面から突破してくる陣形が多すぎる。それでは待ち構えている敵の懐へ無防備に飛び込むようなものよ。あなたも少しはクロードのような狡猾さを身につけるといいんじゃないかしら。」
「ははは、日頃から兵法書は読んでいるのだが、気づくとどうしてもこのような一辺倒な戦法になってしまうというのが最近の悩みではある。生来の動きが身体から抜けないというか、どうもこれが俺の生き方で、簡単に変えられるものではないのかもしれないな。」
「貴方の生き方……ね。自分自身が戦い方にそのまま投影されるなんて愚かな考えとは思ったけど、案外そんなものかもしれないわね。どんなに先人の知恵を借りたり、老師に教えを乞うても、結局私たちは何事も自らの経験からしか学ぶことはできない。戦法に今までの半生が現れるのも当然なのかもしれないわ。」
「俺にもし君のような器用さがあれば、もう少しましな策を講じることができるのかもしれないな。」
「あら、私もそれほど器用な方ではないと思うわよ?一体貴方から見て、私の采配はどう映っているのかしら?」
「君の采配か、そうだな……完璧で、隙のない兵法だと常々思っている。まるで美しい多面体で隙間なく埋め尽くされた蜂の巣のようなものを感じるよ。それでいて働き蜂、つまり君の級友である兵たちは種の存続というただ一つの明確な目的のために、君の指示の下戦っている、そんな印象だ。」
「さしずめ私は女王蜂というところかしら。」
「すまない、気に障ったか?」
「いいの、むしろ気に入ったわ。私はフレスベルグの名の下に生を授かった者としてとして、生まれた時からこのフォドラを宿命を背負っているようなものだもの。それは役目を全うするように最初から決められている蜂たちと何も変わらない。まあ、それは貴方も同じのはずだけれども。」
「宿命と言えるようなものは俺にはないさ。ただ俺は、俺が感じている不条理と、声を上げられるない者たちの悲しみを晴らし、ファーガスを良き国にする……それだけのために生きていると、そう思っている。」
「そうね、お互い役割を最後までやり遂げなければならないわ、たとえ周りの働き蜂がいなくなって、己自身の針を失ったとしても。」
ディミトリとエーデルガルトの支援がCになりました