「バケモンだらけでほーんと、やんなっちゃうったらないわ」白い外套に輝く白い羽根。灰色の仮面の下には文字通り何もない、空洞。
「……聞いてた話とちげーんだけど……」
職員シャオは一人ぼやく。彼は今、[ペスト医師]の作業室に入ったところだ。
優しいお医者様がいる。自分たちをきっと救ってくれる存在がいらっしゃる。心穏やかで、とてもアブノーマリティとは思えない。まるで神様のような、そんな方が──。
(神様、ねぇ)
そんな話を聞いてこの収容室に来たのだが、実のところシャオはその話を信じてはいなかった。神なんているはずがない。いるのであれば、文句の一つでも言ってやりたいぐらいだった。こんなところで何してるんだ、と。どうしてあんな化け物を生んだのか、と。
そんなこと考えるだけ無駄か、と切り捨てるシャオに、声が響いた。
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