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    Turtle_zeeta

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    Turtle_zeeta

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    # L社同名職員さんが一同に会する定期ワンライ より。バジルさんの回。書けば書くほど重さが浮き彫りになってくのなんなんだよ。怖いよ。

    「……そんな、笑えない冗談はやめてくれ」ぐしゃり。敵を叩き斬る音が廊下に響く。ぼたぼたと頬を伝う血は、彼がついさっき斬った[琥珀の試練]の血だ。乱暴にその血を拭い、残党を探す。その目には鋭い光こそ灯れど、弧を描くことは無い。
    職員バジルは滅多に笑わない。作業中は勿論、鎮圧に出向いた時も、いつも。しかし、
    「こっちは粗方片付いたよ〜。そっちは?」
    「あぁ、こっちも問題なく片付いたよ」
    ​───────しかし、職員ジュリアンの横だけは別である。彼女が傍にいる時だけは、時々笑みをこぼすことがある。「怪我はないか?」
    「ないない![黎明の試練]相手にそんな苦戦するわけないでしょ」
    「…そうか、ならいいんだ」
    「相変わらず心配しすぎ〜。私、これでもチーフなんですけど?」
    ジュリアンが口を尖らせる。しかし、彼女がチーフであり、自分と同じALEPHランクのE.G.Oを装備しているからと言って、それはバジルを安心させる理由たり得なかった。もし、自分の離れているところで何かあったら?バジルの心配はもはや過保護とも呼べるほど膨れていた。…最も、当人はそれに気づいていないが。
    「それはお前がいつも無茶するからだろ」
    「無茶じゃありませんー、ちゃんと考えてるしマズいと思ったらちゃんとアンタの事呼んでるでしょ」
    「そもそもお前が一人で突っ込んで行かなければいいだけの話なんだがな」
    「分かってますよーだ。ったくもー…なーんで私の相棒サマはこんなに過保護なんだか」
    「俺は別に過保護じゃない」
    本人に指摘されても、この通り。全くの無自覚だ。悪いとは言わないが、彼のそれはもはや一種の執着とすら呼べるだろう。
    「はいはい。そーいうことにしといてあげる。さ、さっさとお仕事終わらせて美味しいもんたーべよっと」
    試練鎮圧完了のアナウンスが流れ、ジュリアンがつも通りの業務に戻る。そしてバジルもまた、いつも通りの顰め面に戻り、作業へと向かった。

    「じゃじゃーん!見てこれ」
    「…なんだ、それ」
    「新しいギフト!何だっけ、[死んだ蝶の葬儀]?だったっけ。さっきクリフォト暴走来た時にあのちょうちょのやつがくれたんだよね」
    採取したPE-Boxもノルマの半分を超え、業務も折り返しを超えた頃、ジュリアンが得意げにそう語った。どうやら、作業中に新しいギフトを貰ったらしい。彼女の背中には黒い大きな棺が背負われていた。
    「重くないのか?」
    「ぜーんぜん!さっきちらっと中身みたけど空だったしね」
    「…そうか」
    わざわざ棺を渡すだなんて。職員の「退社」を願うあのアブノーマリティの性質であるとはいえ、あまりにも趣味が悪い、と思わずにはいられなかった。
    (これでは、いつ死んでもいいように死に支度をしているようなものじゃないか)
    「…ま、もしアンタが死んでも​───────ってちょっと、聞いてる?」
    「え?」
    「アンタは絶対コレに入れないって話」
    「ごめんもう1回言ってくれ」
    「だから、アンタがもし死んでも、その時はこの棺の中にぶち込んだりなんかしないって話!アンタなんか背負ってたって重たいだけだし」
    「そりゃ、お前よりは大きいからな」
    「死んでてもなんか文句言ってきそうだし」
    「…お前は俺をなんだと思ってるんだ」
    「とにかく!アンタなんか入れとくぐらいならお菓子とか入れといた方がマシってこと」
    …よく分からないが、そういうことらしい。そもそもギフトに干渉できるのかどうかというのは疑問ではあるが、そういったことは彼女の中では問題外のようだ。
    「あ、そうだ」
    「逆に私が死んだら入れといてよ、じゃないとアンタ「食べちゃう」でしょ」
    途端にバジルの目つきが変わる。より一層顔を顰め、ギリギリと拳を握る。
    「……嫌、だが」
    「ええ?何でよ。…あ、もしかして私のこと食べたかった?」
    「っそういうことじゃない!…死ぬ前提の話をするなと、いつも」
    「もしもの話でしょ〜、もう!いつ死ぬか分かんないって言ってるのはアンタじゃん」
    「だと、しても俺は」
    「「私を死なせる気はない」って?分かってるよそんなの。いつも言われてるし〜?」
    そう言ってケラケラと笑うジュリアンを、バジルは眺めることしか出来なかった。血が滲みそうなほど握った拳を開き、もう一度そっと握る。分かっている。彼女が強くなったことは。それでも。それでも、彼女は自分が守らなければならない。死なせるわけにはいかない。誰かを喪う恐ろしさをよく知っているバジルにとって「もし死んだら」なんて言葉は、苦でしかなかった。
    ……職員バジルは笑わない。それは、渦巻く執着と恐れが彼を覆っているからである。
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    Replies from the creator

    Turtle_zeeta

    DOODLEたまには季節にあったものを書こうと思ったのでVDネタです。
    バジジュリが浴びたくなった。もっと言うなら高濃度ドスケベイタリアンハーブ野郎が浴びたくなった。そしてかわいいジュリも浴びたくなった。などと供述しており。
    More Than 3「はい、これ」
    ……いや、はい、じゃなくて。仕事終わった後に「渡したいものがある」って言うからついて来たのはいいんだけど。全然状況が分からない。誕生日先週だし、なんなら誕生日もネックレスもらったし。
    「何コレ」
    「チョコレートだが」
    「いやそれは見ればわかるけど。急に何?今日なんかあったっけ」
    「バレンタインデー、って言うらしい。オノリオに教えてもらったんだ」
    「......ふーん?」
    なんでもそのバレンタインデー?には恋人同士でお菓子を贈りあうのが当たり前らしい。私たちが育った裏路地ではそんな余裕がある人達ほとんどなんていなかったから知らなかったけど、そういえば巣のほうではそんなことをする、なんて話をオフィサー達がしてたような気もするし、今朝ニコルさんからもチョコクッキーもらったっけ。ニコルさんがお菓子作ってるのはいつものことだからあんま気にしてなかったけど、わざわざチョコ味ってことはこれもバレンタインの一環なのかな?
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