兄貴の事は……??袖からそろそろ歩いてきたのは佐古くん、客はキャーと言う
彼はウロウロと辺りを見回している。
「あれー、おかしいなぁ」
そう言いながら周りをキョロキョロ(なんなら地味に自分を推してる子のうちわとか探してファンサしてくれてる)
軽い悲鳴が続く中、息を切らした阿蒜君が舞台中央から登場、会場悲鳴が上がる
「っはぁ、すみません、佐古さんお待たせしました…… 」
「おぉ、やっと来たぁーっ」
端にいた佐古くん、阿蒜くんの元に向かう。
中央に位置する2人、阿蒜君が口を開く
「あ、の……それで急にどうされたんですか?俺に用事って」
「いやぁ、前回にちょろっと会っただけだからさ、せっかくだから親睦を深める機会を作りたくて。ところで…」
息を整えながら問い掛ける阿蒜くんに対して佐古くんはある事を質問した
「君ってぶっちゃけ伊武さんのことどう思ってる?」
イブニキの名前が出て急に悲鳴のボルテージ上がった会場、息をのみ阿蒜くんの返答を待つ観客(ここで何人かオペラグラスでガン見)
その問いに阿蒜くん「うーん」「あー」と言いにくそうな歯切れの悪い返答。腕を組み頭を下にして云々してる間に覚悟を決めたのか、バッと顔を上げて勢いよく佐古くんにこう告げた
「ぶっちゃけるとちょー怖いです!」
「そうかぁ!」
「はい!基本的な事しっかり出来てないと容赦なく鉄棒とかかかと落としが飛んできます!」
「くぅ〜っ、やき入れの怖さ分かるわぁ〜っ」
思いのほか同意的な佐古くんの反応に以前の京極と獅子王の会談を思い出し阿蒜くんもつい聞いてしまった。
「あの…やっぱり佐古さんも守若さんの事めちゃくちゃ怖かったりしますか?」
「ええ!そりゃもうっ!!」
「めっちゃハキハキしてますね」
「あの人の恐怖語るなら朝飯前、今までの苦労と恐怖が…あばばばば思い出せば走馬灯がぁ、」
「成程……」
勝手に色々思い出して足がガクブルな佐古くんを若干同情の目で見つめる阿蒜くん。そして、呼ばれた本題を切り出した
「あの、て事は俺が呼ばれた理由ってそういう兄貴達関連の事で、って言う事ですかね?」
「その通ーりっ、日頃の兄貴への気持ちを共有したいっ!」
「はぁ、…で、俺はどうしたらいいですか?佐古さんと一緒に語り明かしたらいいですかね?」
「と、いきたい所なんだけどね」
「ここに来て違うんですねっ?!」
「いいや、違うようで違わないけどやっぱり若干違う!」
「いやどっちですか?!」
2人のやり取りに困惑とする客席
ザワつく空気を一旦、🤫で落ち着かせた佐古くんは阿蒜くんに本当に言いたかった事を言う
「いやごめん話が逸れたけど、いや逸れてないか」
「いやだからどっちなんですか…」
「まあとりあえずは結論から言うと俺と一緒にある言葉を言って欲しい、それが君を指名した理由だ」
「ある言葉?」
「まあ、そのなんだ、俺達っていつも凄い兄貴達に囲まれてるじゃないか」
「ええ、まあ」
「なんならほぼほぼ一緒に行動を共にする兄貴とは1種の腐れ縁だと思うんだ」
「はぁ…… 」
「毎日毎日、大変な事ばっかりだし散々な目にも合うけど」
ここまで言ってふと阿蒜くんに微笑む佐古くん、彼のその表情に阿蒜くんもある言葉が何か勘づく。そして微笑み返して頷いた。
「でも俺は」
「そんな兄貴の事」
そして中央で2人で大きく息を吸い込んで舞台の中心で叫んだ
「「大好きだぁーーっ」」
キャーー
盛り上がる客席、そして掛かるイントロ
次の曲目へ𝐧𝐞𝐱𝐭…