二人だけのお出かけ「──さん、──あざみさん」
その声に、はっと意識が戻ってきた。
ええと、今まで何をしてたんだっけ。
ここは……そうだ、都市伝説解体センター。
センター長さんに事の顛末を報告しにきたんだよね。
「あざみさん、大丈夫ですか。少し顔色が悪いようです」
センター長さんが車椅子をキコキコと鳴らしながらこちらに近づいて、心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫です。なんだか寝不足みたいで、ちょっとボーっとしてました」
えへへ……と誤魔化すように笑ってみましたが、センター長さんはつられて笑ってはくれませんでした。
「色々と無理をさせてしまいましたね、すいません。今は火急の依頼もありませんから、少し気分転換をとってはどうでしょうか」
1568