シャドー・バブルまだ空に昇ったばかりの太陽の光を反射させ、瑠璃色の小さな湖が朝の静けさの中で輝いている。ここは学校近くにある小さな湖だ。だが、通学路からは道が外れている。だからこの時間に、この場所に居ることはどう考えてもおかしい。それに絶対ついさっきまで通学路を歩いていたはずだし、もう少しで学校という所まで来ていた気がする。
なのに……なにが起きたんやろう。
記憶を辿るが、いつも通りの時間に起きて朝飯を食べ、ばぁちゃんと一緒に神さんに手を合わせてから家を出た。何一ついつもと変わったことはなかった。湖に用事があった覚えもない。それにこの場所には幼い頃来て以来、足を運んだ覚えすらなかった。近くにあるもの程、意外とそういうもんなのかもしれんなぁ。
10493