怖い、怖くない「そういえば映画を借りてきたんですが、一緒に見ませんか」
夕食の後、ウォロがシマボシに話しかけると、シマボシは意外そうな顔をした。
「珍しいな。どうしたんだ」
「ちょっと気になってたのがありまして」
にこにこと笑いながら、ウォロが鞄からDVDを取り出して、彼女の前に示す。ディスクの上に記された禍々しい文字列に、シマボシは一歩退いた。
「……あの、一応聞きたいんだが、この映画のジャンルは」
「ホラーですよ。ほら、ちょっと前に話題になったものです。……もしかして、苦手ですか?」
「好んではいない」
少しだけたじろいだ様子を見るに、完全に平気というわけではないが、かといってトラウマになるほど怖がっているようでは無さそうだった。それならば都合が良い。
1895