青灰の瞳 抵抗するように肩を何度も押されたため仕方なく彼女の口を開放すると、シマボシは呼吸を整えようと息を大きく吸いこむ。
「な、何でこんなところで」
いつも彼女を抱く時は、夜の室内でのみだった。そのため、いきなり建物の影に引き込まれるという状況に、彼女は少し混乱しているようだ。
「ちょっと嫌なことがありまして。慰めてください」
碌な理由など思い浮かばなかったから、適当に誤魔化しつつウォロはまた唇を重ねようとする。しかし、それを防ぐようにシマボシがウォロの口を素早く掌で塞いだ。
「っ、やめろ! こんな場所で誰かに見られたら……」
ウォロはシマボシの手首を掴み、口に当てられた手のひらを下ろした。
「本当ですね。昼から、しかも外で隊長さんがこんなことしてるって知られたら大変です」
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