忘れもの閉め忘れていた窓が密かに部屋中を冷たい空気で満たした頃俺は目を覚ました。壁掛け時計に目をやると時刻は2:15ーー丑三つ時を指している。何故か真夜中だというのに目は冴えており2度寝する気にもなれなかった俺はただ床を眺めていた。
ふと向かい側の方に目を向けると随分と使われていない埃の被ったシーツが目に入る。この部屋は幼少期、 別々に寝る事を怖がった俺に見兼ねた両親が同室にしてくれたもので、事故にあったまま帰らぬ人となった弟のベッドは片付ける気にもなれずそれから5年経った今でもそのまま置かれている。
ベッドを注視しているとどうもじっとしていられなくなり、俺は窓を閉めようと窓際に向かった。
そっと窓縁に手を伸ばした時、視線上に1匹の猫が目に入る。その猫は紅色の目にサーモンピンクの毛、目の下には小さな傷が入っていた。まるで亡き弟を彷彿させるような見た目に思わず俺は
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