夕暮れに秘密をひとつ いくら扉をノックしても返事が無い。
(明かりの消し忘れか……?)
四度目のノックを終えた後、まるで反応の無い扉を前にパーシヴァルは途方に暮れた。
団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
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