溶け合っていようね 君という澱が沈んでいく。
それは度数の高いブランデーを生で飲み干したときのように熱を帯び恍惚で浮足立つような心地が良いものだった。
またはハリネズミのジレンマのように鋭利で無数の錐が痛烈に突き刺す痛みを伴い、やがて包装されたプレゼントのリボンのように軽やかに解けて馴染んでいくのだろう。
ドクターは何をするにも億劫だった。
日々、責任のある立場として書類や決裁、作戦記録の整理など積もるものに忙殺され人の営みに欠かせない食事すらも作業のひとつに過ぎなかった。口に入れる物も『効率よく栄養を最低限摂取』のためゼリー飲料やら理性回復剤やらのほぼ液体だけの粗末な食事を吸引していた。当初、秘書業務をしていたリーは信じられないような物を見るような目でそれを眺めていた。
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