目覚まし時計のかわりに らーめん屋が歩くと床が沈む。ごく微かな変化だが目を瞑っていたってオレ様には当然わかる。だからこの狭いアパートだとどこに居るのかいつもバレバレだ。らーめん屋はだいたいいつも気配も消さずに呑気にそのへんをウロウロしてる。
気配がうるせぇ。こっちに来やがる。まだ眠いっつーのに。
すぐ目の前でチビが少し身体を固くした。近づいてくるらーめん屋の気配に身構えたらしい。最強大天才のオレ様は目を閉じててもチビの動きぐらいお見通しだし、これもトーゼン……つーか起きたら額が触れるぐらいのところにチビがいたせいだ。ちょっとでもチビが動けばわかる。オレ様とチビの間にはらーめん屋が寝てたはずなのになんでだ? 寒がりのチビが寝てる間にこっちに寄って来やがったのか?
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