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    屍(大荒れペンギン

    ただの蝦夷クラスタが、落書きするだけのアカウント。まじで落書きでしかない。うちよそBL〜自創作やらCoCやら

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    POIPOI 24

    しんちょく
    一次創作

    00:出会い国の西側。王政都市、ロピアンの一角。綺麗な水の都、石造りの路地を通る。久しぶりに外へと出た気がして、ふと空を見上げた。綺麗なこの都市はアリーという名前の王女が仕切る地域で人と人ならざる者が多種多様に生きている。例えば街外れの教会には神を名乗る褐色肌の神父や赤い髪を持つ騎士様に天使の名を持つ修道士が。街中に入れば時の猟犬を従えるギャングスタに、何やら人の気配のしないマフィアのボス。噂によれば女王アリー様の主食はニンゲンで彼女自体がモンスターの類の可能性があるとか。言ってしまえばファンタジーの詰め合わせのような都市なのだ。
    「よぉ、デメトリオ。仕事かい?」
    「あぁ依頼が入ってね」
    「久しぶりの仕事じゃないか?よかったよ、お前が元気なら安心だ。」
    「はは、大げさな。」
     狭い路地の右手側、行きつけだった気がするピザ屋の店主が俺にそう声をかける。だというのも不思議と俺にはここ数年の記憶が薄く、特に半年ほど前の記憶は特に思い出せない。ただ毎日を自堕落に過ごしていたばかりで、仲の良かったらしい近隣住民から何故だか毎日のように食料をもらったり、声をかけてもらったりしてなんとかなっていた。この店主も結構な頻度で会いにきてくれた。だからこそ先ほどのような声をかけてくれたのだろう。元々の職業も曖昧にしか覚えておらず、確か、探偵のようなものをしていた気がすると考えていた俺のもとに先日一つの電話がかかってきた。随分と夜も更けたころだったと思う。

    「はい、デメトリオ・レッキアです」
    『Hello、たんていさんですか?おねがいがあるの』
    「…?あぁ、探偵、なんだろうな。レディ、お願いって?」
    『あしたの、おひるちょうどよ。おひるちょうどにとけいとうのちかくのおはかのところにきてくださる?』
    「……。時計塔の下の墓地か。OK、行くよ。お名前は?」
    『あっ、えっと……ヴェルディアナよ。ヴェルディアナ・ブッキっていうの』
    「ヴェルディアナちゃん、OK、明日のお昼に。お役に立てるといいけれどね」
    『ぱ……おじさまじゃないとダメなの。まってるから』

    今思い出しても不思議な電話だったと思う。何故引き受けてしまったのかいまだにわからないがきっと電話の相手が幼い少女の声だったからかもしれない。流石に子供の頼みを断るわけにいかないような気がしたのだ。

     そんな経緯があって現状に至っている。約束の時間の10分前、指定された時計塔の下にある巨大な墓地。なんとなくこの場所に足を踏み入れるのが俺は好きじゃない。ゴーストがいる、とかいう話は神に天使に人食い女王などの話を聞けばまぁいても不思議じゃないとは思うが、目に見えないものはどうしようもない。それにどうしても人の負の感情がたまっているような気がして、気分が重くなる。歩きながら吸っていたタバコを踏み消してあたりを見渡してみるがそれらしい女の子は見当たらない。
    (それどころか…人さえいねぇな。いるのは目に見えないもんだけ、ってか)
    まぁまだ多少時間もある。幼子ならば遅れてくる可能性もあるだろうと、近くにあったベンチに座りあたりを見回す。つい先ほどまで聞こえていた小鳥のさえずりが不意にやんで、空は青いはずなのに何故だか周辺が暗くなった気がして、心なしか体感温度もさがったような、そんな気がしている。
    (これは……)
     大昔、死んだばーさんが言っていた。悪魔が現れるときは暗くなり気温が下がる。という言葉をふと思い出した。特に対抗する手段など持っていないはずの手が、不思議と銃を探すような動作で自分の腰を撫でる。
    当然、何も持っていないし持っていたとしても銃ごときで悪魔が倒せるなどとは思っていない。とはいえ生きている理由もないような日々を送ってきた気がするのだからここで死んでも何も困りはしないだろうとも思う。

    「おじさま、あぶないわ。よけていて」

     ふと背後から電話で聞いた少女の声がした。
    小さな体で持っているのは自分の体と同じぐらいの大きさの十字架でそれを俺の目の前の空にむかって立てた。そうすると目の前の何もなかった場所から金貨が音をたてて落ちてくる。

    「えっ?え?レディ?ヴェルディアナ・ブッキ嬢でお間違いは?」
    「ないわ、おじさまあぶなかったわ。もうすこしででびるまんのごはんだったのよ」
    「で、でびるまん…?ジャポネーゼアニメ?」
    「ちがうわ、でびるまんよ」

     ぷんすかと一人怒りながら少女はその落ちた金貨を拾い集めて真っ白な麻袋に入れていく。そのうちの一つを手に取ってまじまじと見てみるがどうにも俺の知ってる通貨ではない。俺たちが使っている通貨は、確かに主流になっているのはこの王政都市から発行されいるもので、金貨、銀貨、銅貨とあり、この国の東西南北の都市へと流通しているものがあるが、それとはまた違う。特殊なものだろう。
    「失礼、一つ見させてもらっていたんだ。これはお返しするよ」
    「ありがとうおじさま。ん……きょうのは…かきゅうだったのね、たったの300クランだわ……」
    合計額を数え終わったらしい少女は、しょぼくれてさっきのベンチに座っている。
    「ところでお嬢さん?俺を呼んだ内容は?」
    「そうだわ、おじさまにおねがいがあってきたのよ、じこしょうかいをしなおすからきいていてね。」
    「うん?」
    「わたし、あくまばらいのヴェルディアナ・ブッキともうします。おじさまがあくまをひきよせるたいしつなの、ごぞんじかしら?」
    「んん?」
    「おじさまはあくまににんきもの、わたしはあくまばらい。いずれじょういあくまもたおすよていのあるゆうのうなおんな。いっしょにたたかってほしいの」
    「ストップ、これは夢か何かかな」
    「ちがうわ、しつれいなおじさま」
    「Sorry、おじさんすこし寝ぼけていてね」
    「はやくおきたほうがいいわ」
     そう少女に言われ、今おきたことが確かに現実だということに驚いた。まぁ悪魔とやらは見えなかったわけだが。正直に言ってまだ、現実だとわかっても現実味を帯びたかと問われればそんなことはない。不可思議なことがおこりやすいのもこの都市ならではだからだ。
    そんなことを考えていると視線を感じて、そちらを見てみればヴェルディアナが俺を怪訝そうに見てきていた。
    「おじさん、しんじてくれてないわ。でびるまんがみえないせいよ」
    「そう、言われてもね」
    「いいわ、おじさま。ほんとうだもの、でびるまんもてんしさまもいるんだから。ほんものみせてあげる。こっちよ」
    「お、っと……!」
     くいくいとスラックスを捕まれたまま歩き出す少女の後を追う。途中歩きにくさから抱えて道案内を頼んで運んでいくと、いつもの路地の途中の細道を指さされた。こんな細道があったなんて今までなぜだか気が付かなかった。少しズレた石畳の地面に何やら怪しげな商店が立ち並び、まぁまぁな人が往来しているのにどうして通ったこともないのだろうか。古い街並みだというのに目新しい光景という矛盾にほんの少し、心に活気が戻ってくる。
    この冒険に出たかのようなストーリー。悪魔と対峙するということに関しては多少身構えたいが、それでもこの少女と進んでいけば何か大事なものを見つけられる、そんな直感がした。
    「おじさま、いきすぎてるわ、あっちよ」
    「おっと、失礼。ボーっとしていた」
    「んもう、だめよ。あのおみせにはいるの、おろしてほしいわ」
    「オフコース、レディ」
     木製で出来た大きく古ぼけた扉の前にヴェルディアナをおろすと、彼女は扉の前に立ってから身なりを整え、4回、ノックをした。それから待つこと数十秒。中から「はぁーい」と間延びした中性的な声が聞こえてきて扉を開ける。そこには黒髪に赤いインナーカラーの入った色合いの髪を持ち、丸い眼鏡をかけた気だるそうな性別のわからない者が立っている。
    「お、ヴァル。いらっしゃい待ってたよ」
    「きたのよ、ナルミおにいさま。ばらのまじょさまいらっしゃる?」
    「主?今仕入れにいってるからもう少しで帰ってくるよ。入っておいで。そこのオニイサンも」
    「え?あぁ、どうも」
     中に入れば扉が一人でに締り、壁に飾られていた蝋燭が俺たちが歩くタイミングでついていく。俺の前を歩くナルミと呼ばれた者とヴェルディアナは手をつないで仲良さげにおしゃべりをしているようだった。
    「ナルミおにいさま、きょうもちがのめなかったのね」
    「そうだよ~、ニンゲンのち、おいしいけどもらうのが申し訳なくてね」
    「そんなこといってるからたおれるのだわ」
    「手厳しいな~ヴァルは」
    「まじょさまにおこられるわよ」
    「もう怒られた後だよ」
     会話を聞いている限り、あのナルミとかいう人型もニンゲンではないらしい。血を飲むといわれてぱっと思いつくものは吸血鬼だけど、実在するものだなぁ。と関心する。てけてけとあるくヴェルディアナの歩幅にあわせて歩いていたり、チラリと合間にこちらを確認してうすらと微笑んでくれる。どうやらいい人らしい。
    そうしながらゆっくり進んでいくと長い廊下の奥が急に開けて、目の前には木造の部屋が現れた。灯りはすべて蝋燭で、無数にある棚にはたくさんの瓶が並べられいる。色とりどりの薔薇や何かの液に浸されたおそらくは人間の眼球や、得体のしれない色の液、ホウキや杖に、様々な分厚い装丁の本。数えきれないほどの商品らしきものがある。
    「さて、本日は何をお求めですか?マイディア」
    「む、ナルミおにいさまみたいなジゴロヴァンパイアとはおつきあいしていないわ」
    「あはは、やっぱ手厳しい~」
    よほど仲がいいのだろう、どことなく楽しそうなやり取りを見てると自然と笑みがこぼれてくる。そうはいってもカウンターの向かいに行ったナルミは少しばかり具合が悪そうに見える。それが蝋燭の灯のせいなのか自前の顔色の悪さなのかはおそらく種族違いの俺には見当もつかないところなのだが。
    (そういえば今日も血が飲めなかった、とかレディが言ってたな)
    軽く自身の手首を見る。割と太めの血管の通る部分で自傷行為にうってつけの箇所。だというのに生憎刃物を持ってきていなかった。そもそも相手が幼女ならば不要だろうと丸腰できたからなんだけれども。どうやれば目の前の吸血鬼らしき存在に施しができるだろうか。
    「オニイサンどうしたの?自分の腕見て」
    俺が考え込んでいたのを不思議そうにナルミが見て問いかけてくる。横でヴェルディアナもポカンとしてこちらを見ていた。その二人の顔の一部分に目が止まる。口元、歯が、尖っている。なるほど、ヴェルディアナはともかくとしてそもそも吸血鬼であれば確かに歯が尖っていなければそもそも餌にありついても血を吸うのに苦労するだろう。
    「いんや、腹空かしてるなら野郎の血でよければどうぞと思って」
    「エッ」
    「お、おじさま…!?」
    「ん?飯は食わないと死ぬだろ?」
    「そう、だけど、えぇ?」
    「おじさまほんとうになにもおぼえてないのね。きゅうけつきにみずからちをあたえることは、しゅじゅうけいやくをもちかけてるのよ」
    「主従契約……?俺と彼が?」
    「そうよ」
    「そ、そう、だからやめといたほうがいいんじゃないかなーって。気持ちは嬉しいけど俺は誰かに縛られたいわけじゃないし、逆に誰かを縛りたいわけでもないしさぁ。」
    「じゃあ君が自分の意思で吸う分にはその限りではないと?」
    「そりゃまぁ、そうですけど」
    「そういうことならいつでもどうぞとだけ言っておくかな」
    「おじさま、そんなんだからあくまにもすかれるのだわ」
     俺の様子を見てヴェルディアナがなんでだか拗ねたように頬を膨らましていて、ナルミは照れたように苦笑していた。そんなにおかしなこと言っただろうか、と思案してみるがどう考えても食事は大事だろうと言う答えにしか辿り付かなかった。現に俺が無気力だった間周囲の人から助けられていたおかげでなんとか生きているのだし。それともこれが種族間での価値観の相違だろうか。
    そんな風に悩み考えだす俺をよそにヴェルディアナはナルミに仕切りなおしたように目的を告げる。
    「ナルミ、まだまるいめがねあるかしら」
    「お、ちょうどあと一つあるよ。あ、主、おかえり〜」
    「まじょさま、おかえりなさい」
     二人が声をかけた方は俺のすぐ後ろで、俺も釣られて振り返る。そこには顔を黒のレースのベールで隠した女性が立っている。綺麗な黒髪にベール越しにも見える燃えるように赤い瞳と目が合った。
    (これは……美人だな……)
    そう思ったのも束の間。
    「なんだこの胡散臭い男は」
    「おっと……?」
    これ以上にないほどの彼女の嫌そうな表情に見下ろされる。なんだ、この人当たりの最悪そうな魔女は。
    「まじょさま、わたしおじさまとタッグをくむことにしたのよ」
    「ヴァル、お前また勝手に決めたのかい」
    「そうよ。おじさまもついてきたってことはOKなのよ」
    「はぁーまったくこの子は、誰に似たのかお転婆だね」
    「パパに決まってるわ。」
    「……そうか。まぁいい。おい人間、この子に怪我でもさせてみろ、火炙りにした後お前で薬品を作ってやるからな」
    「シニョーレ、これは手厳しい」
    「バカ言え、あたしは未婚だよ」
    「みあやまったわねおじさま」
     魔女の両手いっぱいに抱えられた紙袋は王宮の印が打たれており、どうやら彼女は今ロピアンの首都にある城に行っていたことの推測がついた。それに加えあの紙袋は多少分厚く作られており、主に危険物や薬品を入れるのに使っているのだと、確か誰かに聞いた気がする。やはり魔女なだけあって様々な薬品を仕入れてきたらしく目の前にいくつもそれらを取り出して戸棚へ並べ直して行く。その所作があまりにも美しくて思わず見惚れてしまう。
    「……何さ、あまりみるな、穴が開く」
    「失礼シニョーラ。あまりにも美しくて見惚れていたところだ」
    「誰にでも言うのだろう?まったくとんでもないな人間は」
    「まさか。俺は当分の間家から出ていないものでね。久しぶりに美人を見て喜んでいるだけだよ」
    「…言っていろ。それで、ヴァル。その男にその眼鏡をかけさせる気じゃないだろうね」

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    屍(大荒れペンギン

    TRAININGコルトさん家のブラレナを書かせて頂きました「また喧嘩してきたの?」
    「……別に、たいしたことじゃねぇよ」
    「怪我してるでしょ!」
    手当をしながら、レナはブラッドを覗き込んだ。その目が呆れでも怒りでもなくただ心配に揺れているのを見て、反抗する気もしぼんでいく。
    ブラッドは思わず彼女に謝ってしまいそうになるのをどうにか飲み込んだ。それは今回ばかりは、彼は悪くないからだ。そもそも喧嘩の理由なんて単純で、同ファクトリーの名も知らぬ先輩が、自分の彼女である今目の前で心配そうにしているレナに対して下世話なことをしようとしていたからに過ぎない。
    そうだこれは彼にとっては、正当な理由だ。
    「……ねぇブラッド、私ねいつも不安なの」
    「……あぁ」
    「ちゃんと、待ってるから絶対帰ってきてね。お願いだから……遠くに行かないで……お願いブラッド」
    目の前で、耐えきれないというように涙する少女が綺麗だった。自分ととことん真逆の彼女が眩しいとすら思う。いや、眩しくて唯一の帰る場所と言っても過言ではない。
    彼女はまるで自分の行く末を知っているかのように、不安に揺れている。
    先のことなど分からない。だけど今、彼にできることはただ一つだと、手を重ね 717

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