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    屍(大荒れペンギン

    ただの蝦夷クラスタが、落書きするだけのアカウント。まじで落書きでしかない。うちよそBL〜自創作やらCoCやら

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    POIPOI 23

    楓さんと釛おじとユウジジと暁おじ
    (魔術師前提のただのドンパチ)

    轟音が響いた場所は、廃倉庫の中だった。それはまるで映画の世界のように、コンテナの一つを足場にして飛んだ。
    「さっさと死んじまいなクソ野郎!」
    「相変わらず、横暴な奴だな。乾楓」
     乾楓と呼ばれた赤髪の男は、憎悪にまみれた顔で冷え切った目をして対峙している絵羽嶋暁を見据えた。アイツだけはこの手で殺さなければいけない。何があってもだ。
    「あぁ、そうだ。お前の嫁と子供、もうこさえてくれないのか?あぁ、殺し甲斐があって楽しかったよ。一瞬で肉片になったんだから」
    「テメェ……それ以上無駄口叩くんじゃねぇよ、虫唾が走るぜ」
    思い出したくもない、自身の嫁子供を奪われ一瞬で気が狂ったあの日を。
    それから続いてきたあの苦痛と絶望と後悔と憎悪と険悪と自己嫌悪の全てが乾楓の中で煮え滾って怒りへと変わる。そうすればあとは簡単で、その完成された激情はあっさりと理性を飲み込んだ。
     自身だけならまだよかったかもしれないが、相棒の嫁子供まで奪ったその男を放置しておくわけにいかない。
    「オラァッ死ね」
    「全く手負いの獣って感じで怖いんだから」
     悠々と楓の重い一撃を躱したあげく、自分の手を汚さず、雇ってきた戦闘員を使い楓を囲み痛めつける。嘲笑うそいつに耐えられないというように、雇われモブを蹴り飛ばし、舌打ちをひとつすれば、すっかり崩れてきた髪の毛をかきあげ、煙草に火をつけた。
    「……、相変わらずだな絵羽嶋暁」
    「そちらこそ、乾楓」
    このままでは永遠にそいつの顔面を殴ることはできそうにない。そう察し、モブを蹴り殴り飛ばしながら雀の涙程度に戻ってきだした理性で思考回路を回す。
    (邪魔だなこいつら……腕っぷしはそうでもねぇが、数がな)
    厄介だ。中には刃物を持ち合わせている馬鹿までいるのが視界に映る。
    「楓!下がれ!」
     突如聞こえた、聞きなれた声に反射的に体を動かした。
    一瞬、目の前を大量の血が舞った。絶叫と悲鳴が混ざり合うその向こうには昔から愛用していた刀を振るう相棒の姿がある。
    「テメェの相手はこっちだ暁!!!!」
     目を疑うような人間離れした跳躍力で、モブを足場にし、飛んだそいつは一気に暁の下へと刀を構えたまま降るように落ちていく。
    「釛!!」
    「っ!」
     鮮血が舞った。
    「……チッ」
    「あぁ、釛、逢いにきてくれたの?釛、ほらもっとシていいんだよほら」
     斬られたはずの絵羽嶋暁は、恍惚の表情をし、笑っている。
    首を斬ったはずのソレはたしかに鮮血を舞わせたというのに、落ちていない。それどころか傷さえ見当たらないのだ。
    「くそっ、どうなってやがる」
    「あぁ、釛、教えてほしい?俺の強化魔術で治癒力を極限まで強化してるんだよ、ねぇすごいでしょう?釛、ほら、身体じたいを強化してしまえばこうやっても釛の刃が俺を傷つけることもないんだよ?」
    「チッ、テメェのそのイカれた魔術、どうなってやがる……!その手を放せ、絵羽嶋暁!」
    「あははははははは!ヤだよ!やっときてくれた、釛を離すわけないだろ俺が!」
     狂気に染まった目が、仇嶋釛を捉えたその瞬間だった。
    「そこまでだ。絵羽嶋暁」
     低くドスのきいた声が暁の後頭部を捉えていた。
    金髪のオールバックをした碧眼の男が、感情を映さない表情で拳銃を突き付けている。
    釛の従兄弟、その男も絵羽嶋暁の被害者の一人である。
    「その手を離せ、これはお願いじゃない、命令だ」
    「……、うるさいなぁユウジ」
    「お前に馴れ馴れしく名前を呼ばれる趣味はねぇな。早くどかねぇとうっかり引鉄をひいちまいそうだ。それとも脳みそぶちまけて、ひき肉にでもされてぇか?」

     何も映していないその目が細まった瞬間発砲音が響いた。

    「チッ、逃げ足だけは速い奴だな」

    その弾は、まっすぐに飛び奥にあったコンテナに風穴をブチ開けていた。

    「楓!!大丈夫か!?」
    「大したことねぇが……釛、来るなっつっただろ」
    「俺狙いで俺がいかなくてどうすんだよ」
    「いや、お前狙いだから来るなっつったんだが?っとに、ユウジにいいとこはもってかれるしよ」

     楓はところどころ負った傷から流れ出る血を拭いながら、溜息をついた。
    また、殺し損ねた。あの男を。

    (相棒まで持っていかれちゃたまらねぇ。次で仕留めてやる)
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    屍(大荒れペンギン

    TRAININGコルトさん家のブラレナを書かせて頂きました「また喧嘩してきたの?」
    「……別に、たいしたことじゃねぇよ」
    「怪我してるでしょ!」
    手当をしながら、レナはブラッドを覗き込んだ。その目が呆れでも怒りでもなくただ心配に揺れているのを見て、反抗する気もしぼんでいく。
    ブラッドは思わず彼女に謝ってしまいそうになるのをどうにか飲み込んだ。それは今回ばかりは、彼は悪くないからだ。そもそも喧嘩の理由なんて単純で、同ファクトリーの名も知らぬ先輩が、自分の彼女である今目の前で心配そうにしているレナに対して下世話なことをしようとしていたからに過ぎない。
    そうだこれは彼にとっては、正当な理由だ。
    「……ねぇブラッド、私ねいつも不安なの」
    「……あぁ」
    「ちゃんと、待ってるから絶対帰ってきてね。お願いだから……遠くに行かないで……お願いブラッド」
    目の前で、耐えきれないというように涙する少女が綺麗だった。自分ととことん真逆の彼女が眩しいとすら思う。いや、眩しくて唯一の帰る場所と言っても過言ではない。
    彼女はまるで自分の行く末を知っているかのように、不安に揺れている。
    先のことなど分からない。だけど今、彼にできることはただ一つだと、手を重ね 717

    屍(大荒れペンギン

    TRAINING楓さんと釛おじとユウジジと暁おじ
    (魔術師前提のただのドンパチ)
    轟音が響いた場所は、廃倉庫の中だった。それはまるで映画の世界のように、コンテナの一つを足場にして飛んだ。
    「さっさと死んじまいなクソ野郎!」
    「相変わらず、横暴な奴だな。乾楓」
     乾楓と呼ばれた赤髪の男は、憎悪にまみれた顔で冷え切った目をして対峙している絵羽嶋暁を見据えた。アイツだけはこの手で殺さなければいけない。何があってもだ。
    「あぁ、そうだ。お前の嫁と子供、もうこさえてくれないのか?あぁ、殺し甲斐があって楽しかったよ。一瞬で肉片になったんだから」
    「テメェ……それ以上無駄口叩くんじゃねぇよ、虫唾が走るぜ」
    思い出したくもない、自身の嫁子供を奪われ一瞬で気が狂ったあの日を。
    それから続いてきたあの苦痛と絶望と後悔と憎悪と険悪と自己嫌悪の全てが乾楓の中で煮え滾って怒りへと変わる。そうすればあとは簡単で、その完成された激情はあっさりと理性を飲み込んだ。
     自身だけならまだよかったかもしれないが、相棒の嫁子供まで奪ったその男を放置しておくわけにいかない。
    「オラァッ死ね」
    「全く手負いの獣って感じで怖いんだから」
     悠々と楓の重い一撃を躱したあげく、自分の手を汚さず、 1766

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