My Room（浦良）「いっしょに暮らさない？」

　―言い出したのはウラだった。



【My Room】



　ウラと良太郎は高校からの付き合いだ。女子との交際が幅広い分、男子との交友関係が極端に狭かったウラは、何故か教室での話し相手に良太郎を選んだ。
　何故か、という理由も実は単純だ。良太郎は特別どこのグループにも属しておらず、遊び人のウラについて友達といっしょになって陰口を叩くこともない、大人しめのタイプだったから。
　教室での話し相手と言っても、休み時間のウラは大抵、廊下へ出てあらゆるクラスの女子と戯れている。放課後も、毎日デートやらでさっさとどこかへ消えてしまう。体育の授業やグループ学習で他人と組む必要がある時だけ、さも親しげに良太郎に話しかけてくる。つまりウラにとって良太郎は都合のいい時だけの見せ掛けの友人なのだ。

あこがれ。（ウラ良）　憧れていた景色がある。
　昔、父さんと母さんが経営していた珈琲店。
　改造されて今は、過去とは違ったお客さんが来る。
　古めの扉が開くと光が差し込んでくる。
　僕はいつもテーブルを拭きながら、その光景を眺めている。
　光とともに訪れるコート姿の男性を、姉さんはそっと出迎える。
　口元に花のような笑みを差し、ノスタルジックなミルをカウンターに残して。


【あこがれ。】


　この日、敵が現れたのは良太郎がのどかな散歩を嗜んでいる時だった。平日火曜の、バイト定休日。敵は はぐれイマジンで、ちょうどウラタロスが良太郎周辺を浮遊して一緒に散歩していたところだったので、そのままウラタロスとふたりで片付けた。
　電車斬りをなんとか極めたライナーフォームの良太郎の背を護り 青い海亀イメージのイマジン体で実体化したウラタロスが もう一人の雑魚を成敗すると、ふたりで ふぅっと溜息を揃える。時の運行に害なす悪者、私情を挟めば、馬に蹴られて死んでしまえのお邪魔虫。