milk(ウラ良) 勝手に思っているだけだけど、
僕らは似ているのかもしれなくて。
[ milk ]
饒舌というわけでは決してない、僕の話を彼は じっと聴いている。僕の近所に新しい建物が出来ていく事、 季節が変わって店の客の顔触れががらりと入れ替わってしまった事。おばあちゃんちの裏庭に、ぽつりと生えた柿の若木が順調に育っていく事を、「うん」、と優しい相槌を打ちつつ聴いている。
週に一度の、僕と彼の逢瀬の時間。
彼お得意の方便で人払いした、時の列車の食堂車両。
僕は面白味のある人ではないので、彼が退屈しないように頑張ると焦って少し早口になる。たまにうっかり舌を噛む。そんな時、さりげなく口を挟んだ彼がそのまま語り手の役を請け負い、僕を休ませ、 そして楽しませてくれる。
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