世界で一番神龍に近いとされている種族。それが竜族。姿形は人の身を形取りながらもその実、人よりも屈強な肉体、力、そして頭脳を兼ね備えた彼らはその持ちうる限りの力をひけらかすこと無く、人知れず静かに暮らすことを選んだ。
何故ならば出る杭は打たれる。
言葉の通り、羨望される力を備えた彼らを愚かな人類は差別し、そして迫害を繰り返した。耐えられなくなった竜族は人間たちの前から姿を消した。この時点で既に人類が愚かしいことこの上ないがこの話にはまだ続きがあるのだから尚のこと滑稽。
誰よりも神に近い者たちを害した呪いか、世界には疫病が蔓延し、戦はとどまることを知らず、挙句の果てには崇め奉る主であるはずの神龍までもが人に仇なすものとしてその姿を堂々と現すようになった。
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