カラーバスより鮮明な 無機質なコンクリート壁の頭上にある埋め込み式ライトが点々と灯り、先が見えないくらい長く伸びた廊下を照らし出している。
どことなくひんやりとしていて一歩間違えば病院のような重い空気を連想させる空間の中、パタパタと滑りの悪いスリッパの裏面から発せられる音は何ともマヌケだ。そうしてこんな場所で一人さまよっている自分も。
もうこの施設に来て随分と経つ筈で、そこまで複雑な構造はしていないのも十分に承知している。
逆を言えば余分なデザインを削ぎ落しているからなのか、方向感覚を狂わされるのだ。
しかも今日はどうにも寝付けなくて、頭の整理がてら色々と考えながら適当に歩いてきてしまったのもあって余計に混乱していた。
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