はかしゅうくよう「ルカなんて嫌いだ」
なぜこんな事になってしまったんだろう。
「そうかい、ならばもう私に話しかけないでくれ」
売り言葉に買い言葉。皮肉と嫌味を込めたそれがもたらした結果は泣き出しそうな彼の顔。
赤い瞳を大きく見開き口をキツく引き結んだアンドルー。何か言いたげに開いた口は、何も発さず飲み込み、私に背を向けて部屋を出て行ってしまった。一緒に居たビクターがオロオロと彼の背中を目で追い、次いで私の方を見たが頭を下げて見えなくなったアンドルーを追いかけて行った。
残された私はただそこに立ち尽くす事しか出来なかった。自分で言った言葉と、彼から発せられた言葉の棘が思ったよりも深く刺さり、その場に縫い止められているようだった。
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