Noctyxのとある日常(Alban、Yugo)「おーーーまいがああああああああ!!!!」
突如けたたましいYugoの声が聞こえてきて、慌てて声のするキッチンに向かうと、Yugoが「止血止血」と慌てていた。
「怪我したの?」
「あ、Alban!そうなんだよ、包丁でザクッといっちゃってさぁ!!」
「痛そ〜……どこやったの」
「見てみて!!も〜サイアク!!!」
Yugoはそう言って切れた指を見せてきた人差し指は指の腹がぱっくりと逝ってしまっている。
これは痛そうだ。DJなら指は大切なモノなのに。
僕は救急箱を持ってきてYugoを椅子に座らせると、消毒液を切れた指にかけた。
「ったぁ……!Alban、それめっちゃしみる!!」
「我慢してよ、バイ菌入ったら大変なんだから」
「…はーい。我慢しますよっと」
スラム街じゃ少し怪我しただけでそこから壊死してしまうことなんてよくあったから、そうならないようにこれでもかと消毒液をかけた。
本当は病院でちゃんと診てもらいたいけど。
きっとそしたらYugoは「大袈裟!」と嫌がるだろうから、そこは僕も我慢する。
濡れた指を拭いて絆創膏を貼り、その上から包帯で巻いていく。
絆創膏だけじゃ取れちゃうだろうから、これくらいはさせてほしい。
「…はい、できた」
「ありがとう、Alban!」
「どういたしまして。ちなみに何作ってたの?」
「寒かったから生姜入れた紅茶でも飲もうかと思って、生姜切ったらこうなった」
「……次からすりおろしたの使おうよ」
「あ……そっちの手があったかぁ…」
Yugoは口をぽっかりと開けて、生姜のすりおろしチューブのことを思い出したようで「怪我した意味ねぇじゃん!!!?」と笑いながら怒っていた。
Yugoって機械音痴もそうだけど、頭のネジが数個外れてるんじゃないかな。
普通簡単な方選んじゃうじゃない?Ukiならともかく……。
でもまぁ、これだけ元気だったら怪我の痛みもそのうちすっかりと忘れてしまうだろう。
早く治りますように、そう思いながら僕は散らかしたテーブルを片付けた。