待ち合わせ場所の燐音先輩は目立つ。きれいな赤髪を帽子に隠しても、シンプルな服装でもだ。装飾がないぶん、スタイルの良さが際立つんだろう。本人も自覚してるから、できるだけ壁際で縮こまってるんだけど、それが余計に人目を引いてる。そもそも一人にしたくないなら、星奏館から一緒に出てくれば済む話なんだけど。
でも、おれを待っててくれる燐音先輩ってすっごくきれいなのだ。目を伏せて、ちょっと退屈そうに手元を見つめて。ついカメラを向けたくなるそんな人が、たぶん、そうしてるあいだはおれのことを考えてくれている。そんなの、きらきらして見えるに決まってる。このほんのちょっとの時間は、おれだけの特別なのだ。
メインストリートからはずれた隅っこに姿を見つけて立ち止まる。おそろいで買ったUVカットのサングラスに、
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