こんな猛暑日には、涼しくカフェデートと洒落込むに限る。
軽快なボサノヴァ、ジャングルのように鬱蒼と茂るたくさんの観葉植物、アンティークな意匠が施されたカップアンドソーサー……どれも光のお気に入りであった。自分好みにあつらえたようなこの空間に、謙也の姿はどうにも馴染まないところも面白かった。
お待たせしました、と運ばれてきたレモネードは綺麗にカットされたグラスに注がれていて、窓からの光を受けながらきらきら輝いている。珍しくふたりでお揃いのメニューを頼んでいることにわずかながら照れが生じたが、向かいの謙也が早速ストローに口を付けたのを見てどうでも良くなった。
その店は道路に面しており、重厚な縁取りの窓から行き交う人や車が見える。
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