擬人化🔑🕶️ちゃん 3挿入編
「ふー………」
シャドウキャッツの会合が終わり、俺は伸びをしながら次の任務に向けての準備について考えていた。
一旦自宅に戻ろうかとパラシュートの準備をしていたところに、一通のショートメールが届いた。
「……お………」
差出人はサングラスキャット。ただの同僚だったはずが、色々あって一晩を共に過ごしたアイツだ。
メッセージを開く前に、先日ヤツが言った言葉がふと頭に浮かんだ。
『なぁ………また連絡していいか?』
『今度は、君の……挿れてほしいんだ』
「……チッ」
思わず鮮明に想像してしまい、柄にも無く照れてしまう。照れ隠しで思わず舌打ちをしながらメッセージを開いた。
『今日か明日、空いてるか』
サングラスキャットとメッセージのやり取りをすることは今までに無かったが、思いのほか淡白な文章だ。そして、メッセージの内容はやはり以前ヤツが言っていた誘いそのものだった。
飛行船内の廊下で立ち止まり、壁を背にして返事を打つ。
『どっちも空いてる 今どこにいる』
メッセージを送るとすぐに開封が通知され、『船内のラウンジ』とだけ描かれたメッセージが届いた。
返信はせず、俺はラウンジに向かって歩き出した。表情には決して出してはいないつもりだが、俺の脳内も身体も素直すぎる。先の展開を期待して鼓動が高鳴っていた。
船内のラウンジに着くと紫色のユニフォームを着た団員が多い中で映える赤色をすぐに見つけることができた。
サングラスキャットはソファに座って、ビリヤードをしている他の団員たちを眺めている。
「………よぉ」
声をかけながら空いている隣にドカッと腰を下ろした。俺の体重で少し跳ねながらパッとサングラスキャットがこちらを向いてきた。
「あ……ロックスミス!そうか、君も船内にいたんだな」
「あぁ、まあ……会議出ねえとだしな」
「お、君………意外と真面目だな」
サングラスキャットはさっきまで組んでいた足を下ろし、そろりと膝を擦り合わせながら言葉を選んでいるようだった。
うぶな反応が可愛らしく、思わず口元が緩みそうになるのを反対側を向くことでごまかした。
「……お前明日は何もないのか」
「あ、ああ……休み……」
「ふぅん………」
生返事をしながら背けていた顔をパッと戻すと、気を抜いていたらしいサングラスキャットとバッチリ目が合った。
「………っ」
耳をピンと立てたサングラスキャットは、何か言いかけた口をキュッと結んだ。赤い顔をして上目遣いで俺を見つめるコイツに思わずムラッとくる。
「覚悟できてんのか?」
周りに他の団員がいる以上、直接的な言い方はできなかった……だが、サングラスキャットには十分俺の意図が伝わったようだった。
ヤツは耳まで真っ赤にしながら目を見開き、俯きながら聞き逃しそうなほど小さい声で呟いた。
「ッ……で、できてる」
「はは………」
俺はソファから立ち上がり、ラウンジの出口に向かって歩き出した。
振り向いて、座ったままのサングラスキャットに目配せをするとヤツも慌てて立ち上がって着いてきた。
「細ェな、腰」
「………言い方がやらしい」
どうせ目的地は同じなんだし、と二人で一緒に俺のパラシュートで地上に降りることにした。身体を繋ぐためのハーネスのベルトをしっかり締めながら、ヤツの腰を見て思ったことがそのまま口をついて出た。サングラスキャットにジトッとした目で睨まれる。
セクハラじみたことを言ってしまった自覚はある……俺は黙ったまま手を動かした。
「よし……ほら、行くぞ」
「オッケーだ」
俺はしっかりと結びつけたサングラスキャットを抱えて飛行船から飛び降りた。
手頃なビルの屋上に下り立ち、丸めたパラシュートのバックパックを適当なコインロッカーに放り込んだ。
サングラスキャットは手鏡を見ながら風で乱れた髪を直している。
「前と同じホテルでいいよな?」
「………あ、ああ」
「はは、なに照れてんだよ」
手ぶらで歩きながら尋ねると、サングラスキャットは上擦った声で返事をしてきた。俺の目線からだと小柄なヤツの頭頂部しかまともに見えないが、三角の耳の先が赤く色づいているのがよくわかる。